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積年の自民党政権が嫌で民主党に投じた人が多かったのが、前回の衆議院選挙である。政権についた直後には早速予算の組み替えを行うなど、新しい政策を実行し、閉そく感を打破できる(=失われた30年にはならない)という期待を持たせたのは束の間で、普天間の迷走あたりから雲行きが怪しくなってきた。

2代目が登場して少しは変わると思わせたが、躓きの素は尖閣諸島への領海侵犯事件への対応であったと思う。それに震災対応、特に原発事故への対処で危機管理能力の稚拙さが露呈され、ダッチロール状態になってしまった。

それに替わった3代目は、今度は人事下手でリーダーとしての資質を疑わせるようになってしまった。選んだ大臣のうち4人が問責にかけられ、そのうちの2人は防衛大臣である。特に2人目の国会答弁を見ていると、「この人物で大丈夫か?」と誰の眼にも映るような人選であり、人事下手を思わせるものだったが、その極め付けが昨日発表された防衛大臣の人事だ。

シビリアン・コントロールの観点から、防衛大臣は政治家がその任に当たるべきで、防衛問題の“専門家”がその職に当たるべきではないと思う。2代にわたる問責を受けての民間人起用ということは、民主党には防衛・安保問題できちんと対応できる人材不足を証明しているようなものであり、政権政党の資格に?が付いたと思う。

消費税増税に前のめりになりすぎて、政権として致命傷を負ったのではないだろうか。これで、民主党の4代目の首相が登場することはないだろう。それにしても、民主党政権は
これで3代続けて、防衛・安保で躓いたことになる。チャレンジャーはリーダーとの差別化を図り得意分野に磨きをかけることが大事だが、リーダーは市場に責任を負うために得意分野だけに特化するわけにいかず、苦手科目を作ってはいけないというポーターの法則が当てはまるということか。
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昨日の午前中は短パン、Tシャツのスタイルがピッタリの陽気だったが、昼過ぎには「一天にわかにかき曇り」で、瞬間的な大雨になった。このような時は、雨雲が通り過ぎたら天気が回復するもので、昨日も青空が覗くようになった。

ところが、昨日はもう大丈夫と思い、傘を持たずに外出したところ、もう一度スコールのような大雨に見舞われてしまった。油断大敵である。原因は、上空に流れ込んだ寒気のためで、先日の竜巻以来何度もこの言葉を耳にしている。


暖気と寒気という異質のものが混ざり合うことで、軋轢が生じるということである。今の民主党もこれと同じで、「AKBに天童よしみが参加しているような違和感」と誰かが言ったとか言わないとか。

ハーモニーが乱れるのは当然で、政策を演奏しようとする度にストップして調整を余儀なくさせられている。それぞれが自分の歌い方をかえないのならば、一緒に歌うことはあきらめて、独自の道を歩むほかないと思う。

一方で、最近NHKの番組の合間に、歌手やタレント、スポーツ選手が一節ずつ唄い継ぐ番組が流されている。野村まで登場しているのに驚いたが、それほど違和感はなく聞くことができる。震災復興支援を目的とした歌であり、目指すものがあるということで、ハーモニーが保たれているのであろう。

目指すものがはっきりしない、民主党のAKBと天童よしみのジョイントコンサートとの違いだ。
日銀の白川総裁のインフレターゲットを意識した発言以降落ち着いていた円が、再び80円を切る水準にまで逆戻りし、株価も大きく値下がりをしてしまった。フランスの大統領選挙とギリシャの議会選挙を受けての結果だ。

4月の下旬ごろからジリジリ円高に振れていたが、2つの選挙の情勢を反映していたもので、結果が判明しての70円台突入になっている。いずれの選挙も僅差のせめぎ合いで、ギリシャなどは152の過半数に3議席及ばなかっただけであり、情勢分析の段階では接戦ということで黄色の信号が灯り、結果が出て赤信号に変わったということだ。

両方の選挙ともに、緊縮財政を押し進めてきた政権が、緊縮財政からの離脱を訴えた野党に敗れたのだが、この結果は“不退転の決意”で増税を図ろうとしている誰かさんたちには首筋が寒くなる結果だと思う。

洋の東西を問わず、選挙という民主主義の意思決定のルールにおいては、負担を強いる政策は有権者に嫌われるということがはっきりしたのだろうか。大衆に媚を売るというポピュリズム論で片付けがちになるのだが、顧客の支持を獲得するというCSにもつながる問題であり、考えどころだと思う。

一つ言えるのは負担を強いるには政府への信頼があることが前提であり、信頼が得られていない(支持率が低い)政権には有権者はNOをつきつけるということだ。

ことわざに、「あばたもえくぼ」という言葉と、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という正反対の言葉がある。信頼があればあばたもえくぼに見え、信頼がないところでは袈裟まで憎く見えるのである。ポピュリズムでは信頼が得られないのではないだろうか。

面白いのは、緊縮財政派ではなく成長路線派が勝利したにもかかわらず、株式市場は疑問符を投げかけて株価を下げていることである。「神の見えざる手」という言葉は私の大好きな言葉だが、有権者の見えざる手と、市場の見えざる手のどちらが正しいのだろうか。
問責決議ごっこという遊びをやると、面白いほど大臣の首が飛ぶものだから、やめられなくなってしまってドンドンとエスカレートしてしまったようだ。これまでは不祥事による問責が多かったように思うが、最近ではターゲットを絞り、予算委員会などで「口頭試問」を行い追い込んでゆくという、“いじめのような問責決議ごっこ”が行われている。

首班指名の権利は衆議院にあって、参議院には認められていない。しかし、問責決議ごっこを使うと、理屈の上では参議院が首相交代を求める事が出来ることになる。決めるのは衆議院にあるが、参議院に拒否権があるような仕組みである。

この構造を変えない限り、“決められない政治”が永遠に続きそうでおかしな話である・

政治にまつわるおかしな話をもう一つ。中央集権的な政治システムを変える事を目的に、道州制を求める知事や政令指定都市の首長が明日“東京”で設立総会を開くということである。

発起人には、メディアが煽りたてている大阪市長ももちろん名を連ねている。中央主導に反旗を翻すのに、わざわざ決起集会を東京で開くというのはどういうことなのだろうか。私にはブラック・ユーモアとしか思えない。岡山県知事が記者会見をして発表したのだから、岡山県か急先鋒の大阪で開催するのが筋だと思う。

東京でしか集まれないようなら、このような人たちの唱える“道州制”はスタートからボタンの掛け違いをしているような気がする。

原発の再稼働について、国民的コンセンサスは“脱原発”であると思う。もちろん私もそのうちの一人である。フクシマの事故により、一端コントロールのタガから外れたら、手の付けようがないということはよくわかった。大量の難民が発生しただけでなく、農業や漁業に与えた影響は深刻なものである。

発電コストの安さが原発の最大のメリットであるが、一度事故が起これば発電コストは自然エネルギーのそれを大きく上回ることになってしまう。この一事だけでも、原発の廃止に十分なものであるが、それ以上に私は脱原発を進めるべきだと思うのは、廃棄物の処理ができないという点である。

無害化する技術は確立しておらず、今のところは気の遠くなるような時間“大事に保管”し続ける事しかない。廃棄物の保管コストがどれだけ発電コストに含まれているのだろうか。自然に放射線がなくなる10万年間の保管コストを考えると、とても安価な代物とは思えない。


脱原発に向かって進むべきなのだが、問題はハードランディングを選択するか、ソフトランディングにするべきかである。ほとんどの原発が停止し、間もなく全ての原発の稼働が途絶えるという状況は、すでに脱原発の世界に踏み込んでいるのかもしれない。ハードランディング論者にとっては、「現状でもなんとかなっている」というのは大きな論拠なのだろう。

しかし、今は何とかなっても、夏場をしのぐことはできないという危機感があり、特に原発依存度の高い関西電力では再稼働が急がれ、昨日の政府の決定にあると思う。しかし、政府が決めたからといって、すんなり再稼働するとは思えない。

再稼働を認めたということは、ハードランディングを選択しなかったわけだが、ソフトランディングに向けた道筋も示したわけではない。ソフトランディングの工程が明らかになれば、住民や国民も“しぶしぶ納得”するかもしれないが、地震や津波への対策が万全ということだけでは納得が得られないと思う。

ソフトランディングのためには、長期的なエネルギー政策が必要になるが、政府案がまとまるのは6月とのことである。政府案が出たとしても、すんなり合意が得られるとは思えない。夏場に向けて再稼働する必要があるならば、今の時点でソフトランディングに向けたあらすじを示す必要があり、昨日の決定の文言にもそのことに触れるべきであったと思う。

脱原発ほど国民的コンセンサスを得られている事柄は最近ではないと思う。それだけに、再稼働ありきを前提に、泥縄で基準を作り決定したというのは、政府にとって致命傷だと思う。次の世論調査で、一気に内閣支持率は低下すると思う。

もう一つの国民的コンセンサスは、「ダルビッシュのメジャーでの成功」だと思う。今のところ、こんなにストライクの入らないダルビッシュを観たことがなく、まるで松坂が投げているような気がする。こちらの国民的コンセンサスも裏切られるのだろうか。


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