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日銀の白川総裁のインフレターゲットを意識した発言以降落ち着いていた円が、再び80円を切る水準にまで逆戻りし、株価も大きく値下がりをしてしまった。フランスの大統領選挙とギリシャの議会選挙を受けての結果だ。

4月の下旬ごろからジリジリ円高に振れていたが、2つの選挙の情勢を反映していたもので、結果が判明しての70円台突入になっている。いずれの選挙も僅差のせめぎ合いで、ギリシャなどは152の過半数に3議席及ばなかっただけであり、情勢分析の段階では接戦ということで黄色の信号が灯り、結果が出て赤信号に変わったということだ。

両方の選挙ともに、緊縮財政を押し進めてきた政権が、緊縮財政からの離脱を訴えた野党に敗れたのだが、この結果は“不退転の決意”で増税を図ろうとしている誰かさんたちには首筋が寒くなる結果だと思う。

洋の東西を問わず、選挙という民主主義の意思決定のルールにおいては、負担を強いる政策は有権者に嫌われるということがはっきりしたのだろうか。大衆に媚を売るというポピュリズム論で片付けがちになるのだが、顧客の支持を獲得するというCSにもつながる問題であり、考えどころだと思う。

一つ言えるのは負担を強いるには政府への信頼があることが前提であり、信頼が得られていない(支持率が低い)政権には有権者はNOをつきつけるということだ。

ことわざに、「あばたもえくぼ」という言葉と、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という正反対の言葉がある。信頼があればあばたもえくぼに見え、信頼がないところでは袈裟まで憎く見えるのである。ポピュリズムでは信頼が得られないのではないだろうか。

面白いのは、緊縮財政派ではなく成長路線派が勝利したにもかかわらず、株式市場は疑問符を投げかけて株価を下げていることである。「神の見えざる手」という言葉は私の大好きな言葉だが、有権者の見えざる手と、市場の見えざる手のどちらが正しいのだろうか。
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