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朝の連ドラは当たり外れがあり、3月まで放映されていたものはうるさいばかりで全く観ることはなかった。4月から始まった海女ちゃんも同じようにうるさいのだが、何となくほのぼのした感じがあり、半分くらいは観ている(というかテレビが点いていると言った方が正確なのかもしれないが)。

海女さんといえば、子どもの頃お伊勢さんへの修学旅行の時に、海女さんのショー(だと思う)を見た記憶がある。潜り終えて浮かび上がった特に「ぴゅー」という笛のような音がしたことを、50年前のことなのにいまだにはっきり覚えている。よっぽど、印象に残っていたのだろう。

20代のころ真鶴半島に出かけた時に、海岸を散策していて海女さんの仕事の現場に出くわしたことがあった。年配の海女さんであり、テレビの海女ちゃんとは違うのだが、ショーではなく、生の仕事ということもあって興味深く見とれてしまった。獲ってきたウニを磯場で殻を破って捌いていた。取り出したウニを海水で洗っていたのだ。

見ていると、海水で洗う度に切れ端が波に乗って私の前に流れてくるではないか。思わず手に取って口に入れると、適度な塩分があり甘さが一層引き立つ感じがした。夢中になって流れてくるウニの切れ端を口にし、一個分ほど食べたのではないだろうか。それ以降も何度もウニを口にしたが、私にとって最高のウニの味というのは、真鶴のウニになっている。

先日、エビの桑田を覗くと、殻付きのウニが売られていた。ウニと言うと箱に詰められたものしか見る事がなく、真鶴の事を想い出し、一個買い求めた(480円だった)。殻を破るのが大変そうなので、口を開けてもらって帰宅した。黄色い実だけかと思ったが、茶色いものが混ざっている。少し口に入れると口中に苦みが走ったため、取り除かなければならなかった。

どこかに偏って茶色があればよいのだが、まんべんなく黄色の実に混ざっているので、老眼で手先の不器用な私にとっては一仕事だった。真鶴を想い出しながら懸命に作業をしたのだが、10分以上かかってしまった。手の温もりがウニにいきわたってしまい、真鶴のウニには到底及ばないしろものになってしまった。

その前にも、車エビの生きたものを5匹買い求めたことがある。一匹98円で、五匹490円である。「踊り」にして食べるつもりで持ち帰り、捌こうとしたのだが、敵も懸命に暴れるので頭をとり、殻を外すのに難渋を極めた。三匹退治した段階であきらめ、残りの二匹は頭とともに塩焼きにした(これも暴れまわるのを抑えて火にかけるのが大変だったのだが)。

捌くのに手間取ったため、寿司屋で食べるような口の中での「踊り」はなく、エビの刺身になってしまった。むしろ塩焼きの方が、甘みもあり美味かったように思う(生きの良さは塩焼きにしても現れるということなのだろう)。

いい素材を自宅で味わうためには、包丁さばきに磨きをかけなければならないのだろうが、ホッキ貝の口の開け方は身に付けたが、刺身の形は美しくはない。生来の不器用さはどうしようもないのだろうか。
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