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週明けの円相場は一段と下がって、99円台に突入した。これを受けて東京市場の株価も上昇して日経平均は1万3千円を超えている。このままいくと、円安はさらに進んで1ドル105円から110円あたりまで想定する必要はありそうだ。ここまでくると、円安のメリット・デメリットを真剣に整理する必要があると思う。

円安のデメリットは輸入価格の高騰であり、原発事故以降の貿易収支悪化の最大要因である原油価格に最も影響が出そうである。燃料費の増大は、漁業にも影響が出そうである。数年前の原油価格の高騰の折には、原価が増えたのに魚価に反映できないとして出漁の見合わせが相次いだが、今回はどのようになるのだろうか、魚が大好きな私にとっては気がかりなことだ。

電力料金の値上がりは、楽観的に見るならば、オイルショックの時に見られたように、省エネ意識が向上し、かえって良い結果になりそうな気もする。LED電球の普及が一気に進むのではないだろうか。根が楽観主義的性格だから、どうしても「災い転じて福となす」という考え方をしてしまう。

円安のメリットとしては、輸出企業の手取りが増える事が一般的な意見なのだが、産業構造がこの20年で大きく変わったため、製造業の潤い方は5年前や10年前とは少し違うような気がする。

観光産業は輸出産業だとすると、大きな効果がありそうだ。この10年間で見ると、アジアからの訪日観光客が大きく増えていると思う。東アジアや東南アジアの成長が富裕層を生み、日本への観光需要がかなり増えていると思う。この数年は円高のため、“潜在需要”だったものが1ドル100円を突破すると、一気に“顕在化”するのではないだろうか(円安で海外旅行をあきらめた人の国内観光というのも増えそうだ)。

観光庁にとっては訪日観光客が1000万人を突破することが悲願であったのだが、後一歩のところまで来ながらリーマンショックや尖閣問題で足踏みをしていた。これが、円安で1000万人突破は間違いないだろう。尖閣問題が鎮静化すれば、数年で1500万人を超えるのも無理な話ではないと思う。

観光客の落とす金というのは馬鹿にならないと思う。食費にしても、家庭で食事をする場合と外食では何倍も違うだろうし、交通費やホテル代なども加えると、日本人が国内で日常平均的に出費する金額の5倍以上はありそうな気がする。

500万人来日観光客が増えると、平均滞在日数を1週間とすると、人口が10万人増えたことと同じになる。消費金額が日本人の日常的支出の5倍だとすると、50万人増えたことと同じであり、毎年の人口減少分を補えるのではないだろうか。

デフレの要因は人口減少だと思っているので、デフレ解消策としては訪日観光客を500万人増やすというのはいいアイデアかもしれない。お隣の韓国では、目標年限がいつだったのか忘れてしまったが、訪韓観光客2000万人を打ち出しているというのをニュースで耳にしたことがある。成熟化時代の成長戦略として、1500万人の目標を打ち出すというのは、有効な政策だと思うのだが。

石鯛の幼魚は縦じまが鮮やかで、能や歌舞伎の「三番叟」で演じられている時の衣装にそっくりなので、釣りをする人には三番叟という愛称で親しまれている。身は少しコリコリとし、ほのかな甘みがあるので私の好きな魚の一つだ。これが津波で流されて2年かけて漂着した漁船の中から見つかったという。6匹生存していたのだが、生態系の保護のために5匹は処分され、残りの1匹が水族館で公開されているというニュースが報じられていた。歌舞伎座の杮落しに合わせたのだろうか。


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