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学生時代に、陸上競技の中距離を走っていた。大抵の試合では予選を1回走ってあえなく落選し、1日に2度レースを経験する事はほとんどなかったのだが、一度だけ予選を通過し決勝に進んだことがある。といってもメジャーな試合ではなく、「枚方選手権」という草競馬のような試合の1500mでのものだった。

予選では調子がよく、ラストは少し力を温存し、決勝への余力を残しながらのレースをすることができた。しかし、1日に2レースを走るという経験をしたことがなく、決勝への調整の仕方がわからず、2時間後の決勝ではヘロヘロになってしまい、予選のタイムを下回ってしまった。力を蓄えていたはずだったのに、ガス欠を起こしてしまったわけだ。

昨日の水泳の日本選手権では、レース間隔が20分しかなかったのに両方のレースで優勝という驚異的(少なくとも私にとっては)な選手が現れた。ロンドン五輪の個人メドレーでメダルをとった萩野が、200m自由形と100m背泳ぎという単独種目でのものだった。しかも相手は、松田、入江というメダリストを破ってのものであり、価値ある優勝となった。

アメリカの水泳選手では、異なる種目でのチャンピオンが登場することがよくある。古くはミュンヘン五輪で金メダルを6個獲得したマーク・スピッツ最近では金メダルを量産している、マイケル・フェルプスやロッペンなどである。スピッツは自由形とバタフライだったが、フェルプスはバタフライと自由形と個人メドレー、ロッペンは背泳ぎと個人メドレーでの活躍である。一芸に秀でるだけでも大変なことなのに、多芸に秀でるというのはもう1ランク上の評価になると思う。

個人メドレーという競技はそもそも万能型の能力を要求されるスポーツなのだが、切り取った種目でも一流の成績を収めるというのは“超万能型”の選手と言え、フェルプスがスーパースターとして尊敬されている所以だと思う。

萩野の場合は、まだ単独種目では世界チャンピオンではない(“本職”の個人メドレーでもロンドンでは銅メダルだった)のだが、日本ローカルでは立派な超万能型の選手になったと言える。まだ大学生になったばかりであり、これからどれだけ万能ぶりを見せるのか楽しみだ。

目標とする6冠には、ロンドンのメダリストである入江を倒す必要がある。今日のレースが楽しみだ。


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