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日銀の金融政策決定会合で、金融緩和のための施策が発表され、市場が素早く反応して一気に株高・円安となった。前日のニューヨークの株が大幅に下がっており、このところの傾向だと東京市場も連れて下がる場面だっただけに、なおさら株価の上昇ぶりが目立つものになったと思う。

昨日の政策発表で注目されたことは、麻生財務大臣のコメントにもあった「兵力の逐次投入」をせずに、一気に手の内のカードを全て切ってしまったということだろう。これまでの日銀の金融政策と言うと、兵力を小出しにし、反応を見極めながら進めるというものだった。金融政策には副作用を伴うだけに、少しずつ様子を見ながらというのが定石だったのだろう。

昨日の発表では、その常識を覆して兵力を一気に投入したものだから、市場にとっては(多くは外国の投資家だと思うが)意表を突かれた格好になり、株高・円安に進んだのだろう。

立ち上がりの第一の矢による奇襲作戦は大成功だったと思うが、肝心なのはこれからの政府の二の矢三の矢だと思う。これに適切な手を打てないと、株や土地などの資産インフレを招いただけの事になってしまうからだ。

経済学やマーケティングの学説というのは、全て右肩上がりの社会を前提にして成り立っているのだと思う。しかし、日本の状況は成熟期も通り越して、人口減少という衰退期に入っている。世界中のどこの国も経験したことのない事態であり、経済学者もマーケティング学者も解を持ち合わせていない事象である。

衰退期にあることから目をそらし、従来の延長上からの政策のテンコ盛りではデフレからの脱却はままならないと思う(円安効果により物価は上がるのだろうが、消費のボリュームは増えることはないと思う)。

国内市場が衰退していく中で、輸出を伸ばすというのが一つの手段である。しかし、グローバル化の進展の中で海外への工場進出が進み、自動車はそれでも輸出超過だがもう一つの稼ぎ頭だった電機業界はすでに輸入超過になってしまっており、海外の成長を直接的に取り組むことはできない状況になってしまっている。

国も産業構造を見ると、成長期に入る前の低成長段階では一次産業が中心になっている(日本も昭和20年代までは就業人口の半分は一次産業従事者であった)。成長段階では二次産業に比重が移り。高度経済成長時代や、昨今の中国の姿からもそれが見て取れる。成熟期になると、三次産業がボリュームを増やし、ここに適切な手立てを打つことができなかったのが「失われた20年」だったと思っている。

私は、観光産業というのは立派な輸出産業だと思っている。日本の需要が減退していく中で、海外から訪れて需要の足りない部分を補っていただけるという、貴重な産業ではないだろうか。

これから出されるであろう“成長戦略”において、観光産業をどのような位置づけにするかで、アベノミクスかアホノミクスの判断をしようと思う。
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