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大学を卒業して最初に手掛けた仕事は、当時の「日本列島改造論」により移転した工場の跡地の事業計画が中心であった。群馬県の太田市の製粉工場(鹿島に移転した)や、大森のいすゞの本社工場(今はベルポートという複合ビルになっている)、宝塚のNTNの工場など、4年間に10件ほどのプロジェクトに参加した。

立地の有効活用だから、立地特性の分析が最初に行うことになるのだが、インターネットのない時代であるため、統計データは市町村の役場を回り統計書を収集する事から始めなければならない。20キロ圏や30キロ圏となると10ヶ所くらい回る必要があり、それだけでかなりの時間を要することになる。

パソコンもワープロもない時代で、レポートは全て手書きであった。面倒くさくなってある時、統計資料からコピーしたものを切り張りして上司に見せたことがある。その時の上司の第一声が「これは資料分析ではない。“資料泥棒”だ。」と叱責されてしまった。それ以来、私の中では「切り貼り厳禁」という言葉が深く刻まれ、手書きでせっせと資料を作成することにしていた(不器用なので、ハサミをうまく使えず、まっすぐ貼るのに手こずっていたこともあるのだが)。

パソコンを使うようになって、状況が一変した。コピーペーストという機能を使うと、曲がりを気にすることもなく、便利なものだとよく利用するのだが、この時にいつも“資料泥棒”という上司の言葉を想い出し、これは泥棒にあたるのかどうかを判断しながら、control、Vのキーを押すようにしている。

最近はコピペと呼ぶようである。略語はいつのまにか独り歩きして新しい言葉のような感覚になることがある。コピペという略語を使うようになって、資料泥棒という犯罪意識がなくなってしまったのが、割烹着の研究者であるようだ。言葉というものは大事にしたいものだ。
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ようやく暖かくなったが、今朝も少しエアコンのお世話になってしまった。節電に努めなければならないのだが。

原発再稼働の一番手は、鹿児島の川内原発になるという報道がなされている。原子力規制委員会の審査で、地震や津波対策が「問題なし」と認められたためだ。これでこの夏の再稼働に向けて準備が進められることになるのだろう。

しかし、私はどうも釈然としないものがある。先日の参議院予算委員会の集中審議で、野党の質問に対する政府の答弁で気になることが二つあったからだ。

一つ目は“世界一”ということへの疑問だ。安倍首相は答弁の枕詞として必ず「世界一厳しい規制基準」という言葉を唱えるのだが、本当にそうなのだろうかという疑問が沸いてくる。

広告の世界では、“一番”という言葉を使うには、厳格なルールがある。よく「顧客満足度ナンバー1」というキャッチコピーを見受けるのだが、文章の下やテロップで小さく○○社の調査によるという言葉が書き添えられている。「当社調査による」という文言の場合もあるが、これはいかがわしいと感じるのが自然だと思う。

原発の規制基準ならば、各国の規制を横並びにして、なるほど日本の規制が最も厳しいというのを見せるべきだと思うのだが、そんなものを目にしたことはない。さらに付け加えると、耐震基準や津波対策のハードルが高かったとしても、地震大国の日本としては当たり前のことである。安倍首相の唱える「世界一厳しい基準」というのは、「当社調べ」と同じレベルではないのだろうか。

二つ目は、避難対策である。予算委員会の答弁で田中委員長は、浜岡原発で30キロ圏の住民が全部避難するのに100時間かかるという質問に、「批難の問題は職掌外」という発言をしている。

開いた口がふさがらなくなってしまった。安全対策としてはハードだけでなく、ソフトの対策も必要なのに、ハード面だけで再稼働の是非を判断しようとしているのである。福島の事故の時、逃げ惑う人の行き先が定まらず、移動中や後遺症でなくなった方も大勢おり、避難計画の審査も反映すべきだと思う。

再稼働申請中の原発で、関連市町村は135あるそうだが、現在までに避難計画が策定されているのは48で、半数以下にとどまっている。さらに私が問題だと感じるのは、レベルと整合性の問題である。

計画は自治体ごとに策定されているようだが、明確な指針がなく“独自”のものになっている。市町村によってスタッフの人材規模に大きな差があり、レベルが相当違った計画でもそのまま放置されて計画として承認されているとのことである。

さらに、30キロの県内には複数の市町村があり、各々が独自の計画を立てているのでは大混乱が起きかねない。近い所から批難するのが鉄則だが、複数の市町村が同時に動き出せば、優先権のあるはずの近場の人たちが身動きとれなくなるのは必至だ。

広域連携の観点の計画があり、その大方針のもとに市町村の計画が策定されるべきなのだが、現実にはそうなってはいない。広域連携というのは県の役割だが、府県をまたがっているためその役割は期待できず、規制庁がその役割を担うのが自然な考え方だと思う。

ソフト面を軽視し、「世界一の厳しい基準」といういかがわしいハード面ばかり強調して再稼働するというのは、「安全神話」を継承しているとしか思えないのだが。

今日は上着を脱ぎたくなる陽気になるとのことで、久しぶりに春を満喫に出かけるつもりだ。私が仕事に就いた40年前は、この時期春闘によるベースアップが当たり前のようにあったが、この20年は春闘によるベースアップの話を聞くことは少なく、春闘という言葉は死語になったような気がしていた。

ところが、今日は春闘の集中回答日で、どれだけの企業がベースアップを行うのかが注目されている。既に数日前から大手企業の賃上げが発表されており、組合に変わって政府が賃上げ交渉をした成果が出そうな気がする。

先触れとして先週末から昨日にかけていくつもの大手企業のベースアップが報じられているが、少し複雑な感情を持つのはローソンの賃上げである(最大手のセブンイレブンは組合がないので春闘はないとのこと)。

私の父親の実家は、明治時代から枚方で酒屋を営んでいた。三男坊だった父は酒屋にこそならなかったが「酒販組合」の仕事をしており、酒屋は生業のような感覚がある。

経済センサスの酒小売業の欄を見ると、12年には全国で酒屋は37,000軒となっている。酒屋の数は長年10万軒を超える数値でほぼ安定していたが、94年の商業統計で初めて10万を下回り、99年には8万軒まで落ち込んでいたのだが、それがさらに12年には4万を下回るようになってしまった。

酒屋の数が12万件前後だったのは手元の資料だと62年から91年まで30年間続いたわけで、その前もそのレベルはあったと思うから“見慣れた風景”だったと思う。それがこの20年間で1/3まで減ってしまったのだから、街角の景色は様変わりしてしまったわけだ。

酒屋にとって替わったのがコンビニであり、コンビニの好業績は酒屋やタバコ屋を駆逐してしまった結果でもある。生活様式の変化に適応したのがコンビニで、それに乗り遅れた旧態依然たる既存の酒屋やタバコ屋が退場していったのはやむを得ない事だとは思う。

しかし、その代償としてコミュニティのインフラを失ってしまったのではないかと思う。昔の酒屋の商売の特徴は、配達を伴うということだった。ビールや酒はガラス瓶に詰められており、容量もビールは633cc、日本酒は一升びんが主流で、「重たい商品」であったため、配達がかなりのウエイトを占めていた。

缶ビールの普及により、ダウンサイジングも含めた軽量化が、コンビニに勝機が生まれた大きな理由であると思う。

配達というのは、注文を受けた時と、お届けの時に2度のコミュニケーションのチャンスが生まれ、コミュニティの潤滑油的な機能があったと思う。今のコンビニでのコミュニケーションは「年齢確認」のボタンを押すことを指示されるだけしかない。

もう一つのコミュニティインフラとしての役割は監視機能があったと思う。配達というのは街中の「見回り」というのを自然に果たしていたと思うし、店には必ず「店番」がおり、タバコ屋のおばちゃんに悪戯を咎められ、叱られた子どもも多かったのではないだろうか。

店番という監視カメラと、配達という移動監視カメラがあったようなものだろう。多くの目が街中に注がれることが、秩序をある程度保っていたのではないだろうか。

酒屋やタバコ屋は日暮れとともに店を閉じるため、生活時間の変化に対応できなくなり淘汰された側面もあると思う。便利さ=顧客の都合であり、それに合わせるのがCSの原点でもあり、顧客満足度で酒屋、タバコ屋はコンビニに大差をつけられたのだろう。

薬のネット販売により、今度は街の薬局の衰退が予想される。時代の流れで仕方ないのだが、顧客の都合だけで何事も決まるというのは、疑問を感じるようになってきた。

今までCSをおもな生業としてきただけに、ローソンの賃上げのニュースを聞いて少し複雑な気持ちになってしまったわけだ。
水産庁が、クロマグロの未成熟魚の漁獲量を半減するという方針を決めた。クロマグロは親魚になるまで4~5年かかるとされ、親になる前に獲ってしまうため資源の減少につながるということのためだ。

クロマグロの幼魚は、関東ではメジ、関西ではヨコワと呼ばれている。子どもの頃、なじみの魚屋が毎朝御用聞きに家を訪れ、「今日の刺身はヨコワと○○が」という言葉をよく耳にし、魚屋の事を「ヨコワのおっちゃん」と呼んでいた記憶がある。

釣りを始めてから、なぜヨコワと呼ばれるのかよくわかった。釣りものの中で私が好きなのは、イカ、イサキ、イナダの3種類でなぜかイで始まる名前の魚ばかりだ。そのイナダ(関西ではハマチ)釣りの外道にメジが釣れるのである。

釣れるのは2キロほどの大きさだが、お腹の縞模様が鮮やかである。子どもの頃は刺身しか見なかったのでわからなかったが、縞模様が横に走っているから「ヨコワ」と呼ぶようになったということがわかった。

水産庁の規制では、30キロ未満を対象とするそうである。イナダは出世魚で、関東では1キロを超えるとイナダ、3キロを超えるとワラサ(2キロ台のものを房総の漁師はサンパクと呼ぶ)、7キロを超えるとようやくブリになる。しかし、30キロというとブリの4倍のサイズであり、ヨコワではなくクロマグロと呼びたくなる。

カニのように網で獲るものは、網目の大きさで調整できるのだが、釣針を延々と流す延縄漁でどのようにしてサイズを選り分けるのか知りたいものだ。猟期や海域を限定することになるのだと思うが。

私はウナギは好物なのだが、昨年から資源が回復するまで禁食にしている。しかしヨコワは子どもの頃食べたきりで、大人になってから買って食べたことはないので、禁食による協力は出来そうもない。寿司屋でトロを注文することをやめるしかないのだろうか。
寒いはずで、この冬一番に匹敵する位の寒気が日本列島を覆っているようで、日本海側では大雪とのことである。しかし、光明は水曜日の予想最高気温が15度になっていることで、後1日の辛抱であるようだ。

昨日はカーリングの日本選手権があり、ラグビーの日本選手権や名古屋の女子マラソン、さらには大相撲の初日など、巣籠りしている身にとっては、“充実した一日”になった。

マラソンは木崎が3位に入ったものの、勝負所で置いていかれ、終盤の粘りでようやく3位にもぐりこんでのもので、トップ争いをしながら最後に力尽きての3位に比べると物足りなさを感じさせた(マラソンは粘りが肝心であるという説もあるが)。

これでアジア大会の代表が当確になったようだが、男女ともマラソンのレベルは落ちているように思う。男子マラソンは瀬古や宋兄弟が活躍した80年代から、バルセロナの90年代初めまで、女子はそのバルセロナからアテネまでの10数年間がピークだったように思う。

日本の国力の推移と、マラソンのレベルが相関しているように見えてくる。日本の基幹産業は、戦前から戦後の高度経済成長時代までは繊維など軽工業が中心であったが、高度経済成長時代には造船や鉄鋼などの「重厚長大」型産業がけん引し、80年代から90年代にかけては半導体や電気製品など「軽薄短小」産業が主役になり、2000年代初頭までのリーディング産業だった。

男子マラソンは「重厚長大」、女子マラソンは「軽薄短小」のように見て取れる。小学生の体力測定で結果は80年ごろがピークで、現在の小学生の体力が親の世代よりも大きく劣るという事が言われているが、そのこともマラソンのレベルが落ちている事につながっているのかもしれない。

面白いデータが日刊現代に掲載されていた。レジャー白書による趣味人口の推移を、バブル期の88年と2000年、2013年の3時点を比較したものである。

  
  
 
          88年   00年   13年
     囲碁   761   455    398万人 
     将棋    1472        1019              847
     麻雀         1472        1128              765
     登山           761          932              857
     野球         2025        1724              765
     サッカー   474           694              571

囲碁、将棋、麻雀、野球はバブルの頃がピークで(もっと以前かもしれないが)、「重厚長大」と同じような傾向に、登山とサッカーは現在の方がバブルの頃よりも多いが、ピークは00年ごろであり「軽薄短小」型の趣味であると言えるのかもしれない。

右肩上がりのマーケティングではピークは将来に登場するのだが、右肩下がりの成熟社会(衰退社会というべきかもしれないが)ではピークは過去にあった事になる。ピークとの距離を測る分析が必要なのかもしれない。
  



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