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ようやく暖かくなったが、今朝も少しエアコンのお世話になってしまった。節電に努めなければならないのだが。

原発再稼働の一番手は、鹿児島の川内原発になるという報道がなされている。原子力規制委員会の審査で、地震や津波対策が「問題なし」と認められたためだ。これでこの夏の再稼働に向けて準備が進められることになるのだろう。

しかし、私はどうも釈然としないものがある。先日の参議院予算委員会の集中審議で、野党の質問に対する政府の答弁で気になることが二つあったからだ。

一つ目は“世界一”ということへの疑問だ。安倍首相は答弁の枕詞として必ず「世界一厳しい規制基準」という言葉を唱えるのだが、本当にそうなのだろうかという疑問が沸いてくる。

広告の世界では、“一番”という言葉を使うには、厳格なルールがある。よく「顧客満足度ナンバー1」というキャッチコピーを見受けるのだが、文章の下やテロップで小さく○○社の調査によるという言葉が書き添えられている。「当社調査による」という文言の場合もあるが、これはいかがわしいと感じるのが自然だと思う。

原発の規制基準ならば、各国の規制を横並びにして、なるほど日本の規制が最も厳しいというのを見せるべきだと思うのだが、そんなものを目にしたことはない。さらに付け加えると、耐震基準や津波対策のハードルが高かったとしても、地震大国の日本としては当たり前のことである。安倍首相の唱える「世界一厳しい基準」というのは、「当社調べ」と同じレベルではないのだろうか。

二つ目は、避難対策である。予算委員会の答弁で田中委員長は、浜岡原発で30キロ圏の住民が全部避難するのに100時間かかるという質問に、「批難の問題は職掌外」という発言をしている。

開いた口がふさがらなくなってしまった。安全対策としてはハードだけでなく、ソフトの対策も必要なのに、ハード面だけで再稼働の是非を判断しようとしているのである。福島の事故の時、逃げ惑う人の行き先が定まらず、移動中や後遺症でなくなった方も大勢おり、避難計画の審査も反映すべきだと思う。

再稼働申請中の原発で、関連市町村は135あるそうだが、現在までに避難計画が策定されているのは48で、半数以下にとどまっている。さらに私が問題だと感じるのは、レベルと整合性の問題である。

計画は自治体ごとに策定されているようだが、明確な指針がなく“独自”のものになっている。市町村によってスタッフの人材規模に大きな差があり、レベルが相当違った計画でもそのまま放置されて計画として承認されているとのことである。

さらに、30キロの県内には複数の市町村があり、各々が独自の計画を立てているのでは大混乱が起きかねない。近い所から批難するのが鉄則だが、複数の市町村が同時に動き出せば、優先権のあるはずの近場の人たちが身動きとれなくなるのは必至だ。

広域連携の観点の計画があり、その大方針のもとに市町村の計画が策定されるべきなのだが、現実にはそうなってはいない。広域連携というのは県の役割だが、府県をまたがっているためその役割は期待できず、規制庁がその役割を担うのが自然な考え方だと思う。

ソフト面を軽視し、「世界一の厳しい基準」といういかがわしいハード面ばかり強調して再稼働するというのは、「安全神話」を継承しているとしか思えないのだが。

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