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いよいよ6月に入った。W杯の開幕まであと11日になったが、本屋の店頭にはサッカーに関する本が山積みになっている。そんな中から、前日本代表監督イビチャ・オシム監督の「考えよ!-なぜ日本人はリスクを冒さないのか?-」(角川ONEテーマ21)を読んだ。

オシムは識見に長け、豊かな語彙で語りかけるため、気づかされることが多く、「オシム語録」を聞くために多くのサッカー記者を集めている。何かと批判的に物事をみる習性があるジャーナリストも、オシムには賛同の記事が多いように思う。ジャーナリストをフアンにするという魅力が彼にはある。稀有な存在であり、私も信奉者の一人だ。

その最新作が「考えよ!」なのだが、読んでみるとこれはサッカーの話ではなく、人としての考え方を説いている本である。参考になることが多い。

例えば、スピードについて語っている部分がある。サッカーで必要なスピードには、「走る」「プレー」「判断」の3つがある。そのうち最も大事なのは「判断するスピード」だとしている。局面を打開するために、判断をして素早く行動する選手が一流プレィヤーの条件ということだ。

日本人固有の問題として、判断のスピードに問題があるとしている。考える力が欠乏しているというのだ。これは子育ての問題に起因しており、その背景には「この国では失敗に罰を与える」という考え方があるとしている。その結果自ら考えようとせず、責任転嫁=指示待ちという行動様式が身についてしまっているとしている。

責任転嫁というのは、自らの失敗とはならないということであり、指示待ちというのは自ら考えないということを意味している。見事な洞察力であり、私も同感である。

語録ではオシムと向こうを張っている野村監督の語録にも、「失敗=成長と読む」という言葉があり、よく似た考えだと思う。

「最低でも県外」「5月末に決着」という2つのオウンゴールで窮地に立たされている人は、「判断のスピードが遅い」という日本人固有の問題の象徴なのだろうか?

失敗に罰を与えるような国にしたくないものだが…
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東野圭吾の「新参者」を読んだ。このところ時代小説に嵌っていたのだが、人形町を舞台にした警察物ということに興味が惹かれて読むことにした。

人形町では15年ほど仕事をしており、“土地勘”がある場所である。明暦の大火までは吉原があり、吉原が移転した後も市村座などの芝居小屋があり、江戸時代の繁華街で現在の新宿の歌舞伎町のようなところだったと思う。戦火にもあわず、一歩横丁に入ると昔ながらの佇まいが見られ、食べ物屋も多く好きな街である。

「新参者」は、日本橋署(実際に人形町にあるのは久松署で、駐車違反で何度かお世話になったのだが)の刑事が主人公で、一つの殺人事件を軸に、いくつものエピソードが短編小説の連作風につらなる小説であり、一つ一つのエピソードが味わいのある話になっている。

気に入ったのは、主人公の“観察力”である。冒頭で、甘酒横丁を通る人たちが、浜町よりに向かう人たちは上着を手に持つ人が多く、逆に人形町通りに向かう人は上着を着ている人が多いというくだりがある。

浜町のオフィスに戻る人は外回りの帰りであり上着を脱いでいるが、人形町通りに向かう人は冷房の効いたオフィスから帰宅する人であるということらしい。これがアリバイに関係するのだが、子供の頃読んだシャーロック・ホームズを想い出させる。

随所にこのような観察に基づく話が出てきて、なるほどと納得させられるのだが、さらにこの小説で納得させられたのは伏線の張り方の妙である。

推理小説には伏線が極めて重要なものになるが、余計な伏線が一杯ある小説があり、読んでいてくたびれてしまうものが多い。この小説は無駄な伏線がなく見事に料理して結末につなげており、作家としての腕の冴えを感じる。

東野圭吾の小説は初めて読んだのだが、上田秀人が間もなく終わるので、年末・年始は東野圭吾をじっくり楽しんでみようと思う。

今年の夏は、堂場駿一の「刑事・鳴沢了」シリーズを読破し、今月は上田秀人の「奥祐筆秘帳」シリーズを読み終えた。作者は現役の歯科医だそうで、2足のわらじをはきながらの作家生活であるが、結構なペースで出版しており、たいしたものだと思う。

今、文庫本の世界では時代小説が大きなコーナーを占めるようになっている。

子供の頃(といっても中高生の頃だが)から時代小説が好きで、山岡宗八の「徳川家康」や吉川英治の「宮本武蔵」、司馬遼太郎の「竜馬が行く」など大作を片っ端から読んだ一方で、軽いタッチの時代小説も好きであった。

思い出すだけで、野村胡堂の「銭形平次」や佐々木美津雄の「むっつり右門」などの捕物帳シリーズや、「柳生武芸帳」「眠り狂四朗」山田風太郎の「甲賀忍法帖」などちょっぴりHなシーンが登場するものまで乱読していた。

社会人になってからは、池波正太郎の鬼平や梅安を読む程度で、時代小説からは距離を置いていたのだが、昨年佐伯泰英の「磐音」シリーズに出会ってからまた読み始めるようになった。

磐音はNHKのテレビ番組で見たのがきっかけで、のめりこんでしまった。ただし、同時進行で読み始めた「密命」シリーズは途中でいやになり(5冊目で飽きた)、「古着屋シリーズ」も1冊で断念した。同じ作者の者でも、主人公に共鳴できるかどうかで随分違いがあるものだと思う。

こして私の小説への接し方をみると、シリーズ物や特定の作家への傾斜が目に付く。シリーズ物は翻訳小説でも同じで、マルティン・ペックシリーズや、87分署シリーズを若い頃に親しんだし、少し前には検視官シリーズなどに夢中になった。

シリーズ物には安心感があるのだろう。磐音シリーズは多分将軍お世継ぎの家基が暗殺されるところでシリーズが終わると思うので、結末が楽しみだ。

まだしばらく出張が予定されているので、次は何のシリーズにしようか。上田秀人の他のシリーズを1冊読んでみようかと考えているのだが…
3連休は読書三昧であった。何かの本を読み出すと夢中になる癖が子供の頃からある。特定の作家や、長編小説を見つけるとのめりこんでしまうのである。

学生時代は、吉川英治の宮本武蔵、山岡荘八の徳川家康(26巻まであった)、司馬遼太郎や松本清張のもろもろの本、アガサ・クリスティやエラリー・クインなどなど、文庫本か図書館を利用したものだ。

最近では、居眠り磐音のシリーズなどであるが、この連休の前から堂場瞬一の「刑事・鳴沢了」に嵌ってしまった。中公文庫から出ている刑事を主人公にした警察物で、全部で10作ある。「今まで紹介しなくてごめんなさい」という、帯のコピーにつられて買ってしまった。最近の警察物では横山秀夫のものが面白いと思っていたが、鳴沢了のシリーズはそれとも違う魅力がある。

主人公は原理原則主義者の堅物で、読んでいてそれは違うのではないかと言いたくなる事がしょっちゅう出てくるのだが、そこが逆に惹きつけられることになってしまったと思うのである。

現在8作目の途中まで来たのだが、ここで感じるのは作者の成長である。1冊目は10年ほど前にかかれたものだが、3冊目くらいからテンポが良くなり、表現もこなれてきたように思われる。これまで、同じ作家の本を続けて読むことが多いのだが、作者の成長を感じたのは初めての経験である。

後2作であるが、10作目は上下に分かれているため、3冊になる。このところ連日出かけているので、往復の電車でかなり読めそうで、今月中にはゴールに辿り着きそうだ。

横山秀夫も、この堂場瞬一も新聞記者出身である。警察物の人気作家は記者上がりというのがパターンなのだろうか。
内需拡大に貢献しないまま5連休の最終日を迎えた。昨日から天気も悪く、引きこもり生活である。この間、溜まっている本を読むことにしたのだが、買い求めてすぐに読まなかったというのはそれなりの理由があり、引っ張り出してはすぐに投げ出してしまうということの連続で、“積読”(変換するとこの文字が出てきた)ということの意味がよくわかった。

そんな中で、最後まで読み通せたのが「市場主義の終焉」(岩波新書 佐和隆光著)である。奥付けを見ると2000年10月に第1刷が発行され、私が読んだのは2001年1月の第6刷である。3ヶ月に5回も増刷されたというのは当時話題になったのだろうが、全く記憶にはない。

2001年というと、小泉政権が誕生した時であり、本書はその直前に書かれたものである。日本が失われた10年で叩きのめされ、アメリカ型の市場主義による改革が期待された時代である。そんな中で、保守とリベラルの歴史的な振り子運動から説き起こし、全盛を極めようとした市場主義に迎合するのではなく、新たな道を探るという論旨で進められている。

100年に1度という経済危機の真っ最中に、暇にあかせて読んでみるとなるほどと思わせることが随所にあり、10年ほど前に書かれたものが新鮮さを保ち続けているのには驚かされる。

2001年にこの本をキチンと咀嚼していれば、その後の展開は大分変わったと思うのだが、2009年の5月にこの本に出合えたことも何かの引き合わせかもしれないと思う。読み飛ばしたところもあるので、もう一度読み返して整理をしようと思う。



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