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東野圭吾の「新参者」を読んだ。このところ時代小説に嵌っていたのだが、人形町を舞台にした警察物ということに興味が惹かれて読むことにした。

人形町では15年ほど仕事をしており、“土地勘”がある場所である。明暦の大火までは吉原があり、吉原が移転した後も市村座などの芝居小屋があり、江戸時代の繁華街で現在の新宿の歌舞伎町のようなところだったと思う。戦火にもあわず、一歩横丁に入ると昔ながらの佇まいが見られ、食べ物屋も多く好きな街である。

「新参者」は、日本橋署(実際に人形町にあるのは久松署で、駐車違反で何度かお世話になったのだが)の刑事が主人公で、一つの殺人事件を軸に、いくつものエピソードが短編小説の連作風につらなる小説であり、一つ一つのエピソードが味わいのある話になっている。

気に入ったのは、主人公の“観察力”である。冒頭で、甘酒横丁を通る人たちが、浜町よりに向かう人たちは上着を手に持つ人が多く、逆に人形町通りに向かう人は上着を着ている人が多いというくだりがある。

浜町のオフィスに戻る人は外回りの帰りであり上着を脱いでいるが、人形町通りに向かう人は冷房の効いたオフィスから帰宅する人であるということらしい。これがアリバイに関係するのだが、子供の頃読んだシャーロック・ホームズを想い出させる。

随所にこのような観察に基づく話が出てきて、なるほどと納得させられるのだが、さらにこの小説で納得させられたのは伏線の張り方の妙である。

推理小説には伏線が極めて重要なものになるが、余計な伏線が一杯ある小説があり、読んでいてくたびれてしまうものが多い。この小説は無駄な伏線がなく見事に料理して結末につなげており、作家としての腕の冴えを感じる。

東野圭吾の小説は初めて読んだのだが、上田秀人が間もなく終わるので、年末・年始は東野圭吾をじっくり楽しんでみようと思う。

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