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相次ぐ無効判決が出て注目される中で、衆議院の選挙区区割りの案が公表された。鳥取県の選挙区割りを見直してベースとなる“1.0”を確定させたうえで、多い所の選挙区をいじりまわし、最高裁の判断で示された2倍を超えないように線を引き直したらしい。

それでも、最大の東京16区と、鳥取2区の格差は1.998倍でわずかな余裕しかなく、東京16区で500人ちょっと増えるか、鳥取2区で300人近く人口が減ると最高裁の判断基準である2倍を超える事になる。率にすると0.1%の増減で起こるわけだが、実際には江戸川区の人口増と、鳥取の人口減が“合わせ技”で起こるわけだから、次の国勢調査で2倍を超えてしまうのはほぼ間違いないであろう。

昨日このブログで、秋田県の大学卒業生の72%が卒業後に他県での就職を選ぶということを書いたが、秋田県ほどではなくても人口の少ない地域では職を求めて県外流出するだろう。仮に流出率を50%だとすると、1年間の卒業世代の流出数は1500人になる(年齢別の人口はほぼ1%と推定される)。次の国調までの5年間では7500人減ということで、人口の多いベスト10選挙区では全て2倍を超えてしまうことになる。

次の衆議院選挙が任期満了選挙になると2016年になり、次の国勢調査は15年だからまたもや憲法違反状態で選挙を実施することになる。今の憲法違反状態を糊塗しただけで、すぐに元の状態に戻ってしまうような案は“改正”という名に値しないと思う。

根本原因は、最高裁が判断を示した2倍に焦点を合わせ、そこに無理やり押し込もうとする泥縄的対応に問題があると思う。2倍ならアウトで、1.998倍はセーフというのもおかしな論理であり、1.998倍も法の下の平等には大きく反するものなのだと思う。

最高裁が2倍はアウトという指針を出したのなら、新しい区割りでは余裕を見てせめて1.5倍程度にまでなるようにして区割りを見直すことが必要ではないだろうか。子どもの頃、いつもギリギリで宿題をこなす私の姿を見かねた、「よっちゃん、いつも“余裕”を持ってしなさい」という母親の言葉を想い出してしまった。

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