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社会保障・人口問題研究所が地域別の将来人口の推計を発表した。これまでも将来人口の推計は発表されていたが、今回は“地域別”に発表された所がミソだと思う。国全体の将来人口推計だと何か他人事のように取られがちになるが、具体的な地名が入ると身近なものになり、「おらが町の行く末は」ということで身を乗り出した人が多いことだろう。

人口問題は、経済活動や社会制度の根本に影響を与える重要な問題にかかわらず、政治は正面から手をつけようとせず、唯一民主党政権が「子ども手当」を実現させたのだが、これもばらまき批判によって葬り去られてしまった。

人口問題は解決するためには、何10年という気の遠くなるような時間を要するため、目先の選挙には結びつかないということで、政治家は手をつけないということだろう。「国家百年の計」という言葉は、政治の世界では死語となっているように感じられる。

ましてや、現政権は「人口減少がデフレの要因ではない」という認識なのだから、このまま座して死を待つということになりそうだ。

国がこの問題に手をつけようとしないのだが、地方自治体では深刻な問題として対策を講じ始めている。今回の発表ではワースト1として名前の挙がった秋田県では、出産奨励金を出しているという。少しでも出生率をあげようとする涙ぐましい努力なのだが、秋田県の昨年の大学卒業生の72%は県外での就職を選んでいる。出生数が増えても、これではざるで水を掬うようなものでやり切れない思いがするだろう。

しかし、子どもの数を増やし続けることにより明るい光は見えてくると思う。大正9年に国勢調査は始まった。当時の人口5500万人のうち、2000万人は15歳以下の子どもであった。現在1億2千万の人口で子どもの数は1500万人ちょっとである。街角の光景は今とは全く違い、子どもの持つ独特の活力が街中にみなぎっていたと思う。

秋田の努力を政府が後押ししてほしいものだが、人口減少がデフレの要因とは考えてず、弱った体に金融緩和や公共投資というカンフル剤ばかり打ち続けようとしている政権に、それを期待するのは無理な話ということだろう。

政治家が国家百年を考えず、目先の対策ばかりに目を奪われるのは、30%の得票率で6割の議席を獲得できるという小選挙区制度に原因があるのではなかろうか。失われた30年がスタートしたころから、小選挙区制度が導入されたというのも、それを証明していると思うのだが。

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