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昨夜のNHKの「クローズアップ現代」は、新興国の富裕層を狙った日本企業の取り組みを紹介していた。富裕層を狙うというタイトルからみて、少しいかがわしい内容かと思ってみていたが、そうでもなかった。

番組で紹介された事例の中で私の興味を惹いたのは、オーストラリアの観光客を対象にした白馬村の取り組みであった。オーストラリアが新興国という表現をされると少し違和感があるのだが、白馬村ではオーストラリアからのスキー客が年間1万人に達し、倍増したとの事であった。

オーストラリアの旅行客の平均滞在日数は8日間と長く、客単価も高いため、オーストラリアの旅行客1人集めるのは、日帰りのスキー客を100人集めるのと同じ経済効果をもたらすという事も言われていた。100人力ということだ。

雪の少ないオーストラリアでスキーを楽しむには、日本が一番近い国だ。これまでも北海道にはスキーを楽しむオーストラリア観光客が多かったのだが、白馬村も国内のスキー客の激減(10年前の半分以下になっている)を受けて誘致に乗り出したようだ。

そこで白馬村の取った戦略が素晴らしいと思う。外で食事をする人が多いことに注目し、英語のレストランガイドを作成したのである。その結果番組で紹介されていた寿司屋は、客の8割がオーストラリア人であるということだ。

ステーキハウスなどを造ったり、メニューをアレンジするのではなく、地元あるいは日本ならではのものを提供するということが、観光の一つの楽しみである、地元の美味しいものを食べるというニーズにマッチしたものである。

実質実効為替レート(07年7月4日に掲載)の低下は、外国人観光客の誘致にはプラスに働く。以前紹介した来日観光客の調査レポート(07年10月14日に掲載)でも、台湾から北陸への観光客が増加しているというデータも、白馬村のように積極的な誘致の効果であるとみることができる。

キャンペーンで一度の来日は見込めるのだが、倍増するのはそれだけでなく、CSが高くなければなしえないものである。オーストラリアからの観光客が倍増したのは、地元の村をあげた「もてなし」により、高いCSを獲得した事に他ならない。

私は、最近失われた10年PartⅡが今始まっており、2015年に大きな社会問題化するという仮説を持っている。その時の解決策の一つが、日本の伝統的文化をサービス業の形として売るというものであり、「観光」というのはその一つの形態である。
白馬村のCSを武器にした対応は、そのあり方についてのヒントを与えてくれるような気がする。
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