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20年ほど前の事、この時期の外房の釣の目玉はヒラマサで、10キロオーバーを目指して勇躍出漁したが、船中12人で上がったヒラマサはわずか2本。もちろん私は1/6ではなく、5/6の方になってしまったのだが、その1/6は私の右隣と左隣であり、複雑な思いで帰港した。

港に着くと、ちょうど伊勢エビ漁の船も戻ったところだった。千葉県は伊勢エビの出荷量で日本一であるが、バブル崩壊の影響で宴会需要が減り、伊勢エビの価格は暴落しているとのことで、欲しかったら分けてあげるとの船頭の言葉であった。

やや小ぶりの宴会用サイズで1匹300円とのことで、思わず20匹も買ってしまい。両親も健在だったので、8人家族で20匹の伊勢エビを相手に自宅で“大宴会”となったのが楽しい想い出であった。

その伊勢エビの価格が高騰しているらしい。アベノミクスによる宴会需要の復活と思いきや、このところ相次いだ食品偽装の影響であるという。伊勢エビにも産地偽装の問題があり、宴会やおせち料理に用いられるイセエビだというのが業界の常識であると今朝の日経の記事にもあった。

南半球でとれるミナミイセエビというのが使われているそうだ。ニュージーランドは日本と同じ緯度になり、植生などは日本と同じで、映画の「ラストサムライ」のロケも行われている。陸上だけでなく、海の中の生態系も日本と類似しており、ヒラマサやタイも釣り放題である。

伊勢エビも同じで、ミナミイセエビも名前こそ違うが、伊勢エビとほぼ同じものである。しかし、産地偽装問題もあるのか、メニューに伊勢エビと表示しているものに、ミナミイセエビを使うわけにはいかず、本家の伊勢エビの価格が高騰してしまった理由らしい。

産地こそ違え、同じものだからそこまで気にしなくてもよさそうなのに、「伊勢エビ」と「イセエビ」の違いが重要だということか。このお陰で、自宅での「伊勢エビの大宴会」は、当分実現できそうにもなくなった。

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