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総裁選挙がはじまった。支持率アップを狙って賑やかにやろうとする意図が見え見えなのに、NHKなどは7時のニュースを延長し、5人の候補者を集めてインタビューを行っている。本命の麻生氏を除くといずれも、「改革」と「国民目線」という言葉が出てくる。

改革とは、「よりよくする」という意味だが、江戸時代の「三大改革」はいずれも失敗であり、小泉構造改革もよりよくなったとはいえないと思う。何故このようになったかといえば、「誰のため」という主語が曖昧だからだ。

三大改革はいずれも幕府の財政建て直しが目的であり、確かに幕府の財政は少しはましになったのだが、締め付けによる景気後退で、庶民(国民)の生活はかえって悪くなっている。小泉構造改革も、企業業績は改善されたが給与に反映されず、内需の落ち込みを招き、格差を生じさせた。

そこで「国民目線」という言葉が登場し、誰のためにということをはっきりさせようとしているのだが、「国民目線」という言葉の意味が曖昧だと思う。

国民=顧客と捉えるならば、国民目線とは政府が顧客満足の向上に注力しようという決意にも見えなくはない。しかし、どうも違和感がある。政府は顧客満足という視点だけでよいのかということにである。

CSとは企業の競争戦略から生まれたもので、「顧客の期待に応えること」が原点であり、企業活動としては「この指とまれ」的活動が重視されることになる。

政党としては、ライバルに打ち勝つためにこの戦略は正しい。しかし、政権としてはそうもいかない。顧客が生活者だけとは限らないからだ。企業や自治体も国にとっての顧客であり、生活者との利害も異なる。

利害の異なる人たちの集まり=社会と考えることができ、政権は社会満足(Social Satisfaction)の追求が第一と考えるのだがどうだろうか。そろそろ社会満足の研究に本腰を入れようかと思う。

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