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昨日述べた、「わざわざ」という話の続きをもう少し。

わざわざという言葉の反対はなんという言葉なのだろうか。わざわざというのは手間暇かけることであり、手間をかけない=手軽さということが反対の意味を示す言葉なのであろう。利便性の追求である。

確かに便利になるということは、よいことであり、コンビニエンス・ストアの普及は消費者の生活様式を一変させたといえるだろう。だがその結果は、酒屋や食料品店など地域に根ざした店の衰退を招き、コミュニティの崩壊という代償を払わなければならなくなったのではないだろうか。

今回の冷凍ギョーザの問題も、冷凍食品という利便性を追及した商品が、特別なものではなく、日常生活になくてはならない必需品として浸透していることが、問題を大きくしていると思われる。

我々は利便性を追い求めたがために、失ってしまったモノやココロが一杯あるのではないだろうか。安倍内閣の目玉政策の一つであるイノベーション25の内容を見て違和感を感じたのは、そこで提示されている2025年を目標とするイノベーションの成果が、「こんなこともできるようになった」という、利便性の追求ばかりであったからである。

“わざわざ”というコンビニエンスとは逆のことを軸にすえた、商品やサービスの開発をすれば、逆転の発想で成功するのではないだろうか。

わざわざというのは、手間暇かけるのであるから期待値を大きくする働きが生じると思う。CSを研究していると、期待値が大きいほど満足度が高くなるという傾向にある。従って、顧客に手間暇かけさせるということが、CSを上げるポイントにもなる。もちろん、手間暇をかけさせるだけの魅力度を持つことが、重要なことは言うまでもない。

あえてわざわざということをコンセプトにしたものは、世の中に一杯あると思う。わざわざで成功したものをリストアップしてみよう。
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