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暖かい日が続いているが、冬場のような澄み切った青空とはいかず、少し霞がかかった用な感じでいよいよ黄砂の到来かと思っていたが、今朝の予報では今日の夕方から黄砂が襲来するとのことで、今朝までは単なる「春霞」だったようだ。私の眼も霞がかかっているということか。

今朝の日経の一面トップ記事は、「仮想工場で生産最適化 富士通ビッグデータ活用」という見出しの記事である。最近「ビッグデータ」という言葉に敏感になっているため(先週の日曜日もNHKスペシャルの「震災ビッグデータ」という言葉に魅かれてチャンネルを合わせてしまった)、興味を持って読んでみた。

記事をざっと読んでみるとシミュレーション技術と、ビッグデータの解析技術を駆使して「最適ライン」を求めるという、いわば“IEのIT化”という技術のようだ。

IEという言葉には懐かしい想い出がある。私が大学を出て最初に就職したのは、日本能率協会のコンサルティング・グループであった。どんなことをやるのかもわからず、ただ「コンサルタント」という言葉の魅力だけで職についたのだが、最初に洗礼を受けたのがこのIEというものだった。

当時の日本能率協会には、マーケティング・コンサルタントの部隊もあったが10名ほどにすぎず、100名ほどの陣容を抱えて主力を形成していたのが工場現場の改善を行うIEの舞台であった。研修は3カ月ほどあったと思うが、マーケティングなどはほんの数時間の座学だけで、大半は工場現場での実地を経験しながらの研修で、IEは寒川にあったタイヤ工場で2カ月、生産管理は名古屋のミシン工場で3週間のスケジュールだったと思う。

工場近くの旅館に泊まり込み、月曜の午前中に座学で教え込まれ、午後からはストップウオッチや巻き尺を持ってデータの収集を行い、週末までに調べた結果をまとめ、模造紙に改善案を書いて週末にプレゼンテーションを行うというスケジュールだったように思う。

工場は24時間操業なので、わからないことがあった時は夜中でも現場に行って確かめる事が出来た。そんなある夜、工場を一人歩いていたら、背中にズドンという衝撃が走った。タイヤが転がってきたのである。腰や足でなく背中に衝撃が走ったのは、自動車用のタイヤではなく、航空機用のタイヤがあたったのである。当時の最新鋭機B747のタイヤは自分の背丈よりも大きかったが、それではなかった。

振り返っても通路には誰もいなかったのだが、タイヤが一人で転がってきた様子もなかった。若造がのこのこやってきて、ストップウオッチを持って何やら自分たちの行動をチェックしているのを快く思わない人が居たのだろう。IEによる作業改善というのは、「やり方を変える」ということであり、慣れ親しんだ動作を変えるというのに抵抗を覚える人が多いということを気付かされ、いくら良いことでも“変える”ということは難しいということを学んだ想い出がある。

そんな人間臭いIEが、今やコンピュータ上で全て行われるようになったということは、タイヤをぶつけられる人は居なくなるということになるのだろうか。
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