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震災から2周年ということで、先週あたりからメディアでは追悼記事・番組がぐっと増え、嫌でも当時の事を想い出させられた。私の好きな番組であるNHKスペシャルでも、震災関連の番組がこの2週間ほどの間に、4本以上の番組が放映されたように思う。

昨夜は進まない復興をテーマに、名取市の閖上地区もそのひとつに取り上げられていた。ここは昨年の夏に仙台を仕事で訪れた時に、被災地の現状を観るために訪ねた場所である。震災当日に津波が襲来した時に私にとって最もショッキングな映像は、4時少し前にヘリコプターから中継された仙台市若林区の畑やビニールハウスが津波に飲み込まれるシーンであった。

閖上地区は、この若林区と名取川をはさんだ地域であり、同じようなダメージを受けていた。タクシーの運転手の話だと、震災前には閖上地区には9千人の人が住んでいたということだったが、家屋はほとんど流され、かろうじて残った建物にも誰も住んでいない廃墟というか、家の土台しか残っていない荒野になってしまった。

その時に印象的だったのは、ぽつんと残った6~7mほどの“山”だった。6~7mでも平坦な所にポツンとありいやでも目につく。遠くから見た時は瓦礫の山かと思ったが、頂上に木が一本伸びており瓦礫の山ではないということはすぐに分かった。

「日和山」と名付けられており、明治三陸大津波で津波がこの高さまで来たということのモニュメントで、大正時代に作られたものである。せっかく先人が津波の恐ろしさを残してくれたのに、閖上地区では愚かにも麓のレベルでの開発が進み、今回の津波で全滅してしまったのである。

その閖上地区では、防潮堤を設け少しかさ上げしてもう一度街づくりをするという事業計画はできたが、住民の意見が分かれ事業化ができないというのが番組の内容だった。日和山の意味が少しもわかっていないような議論が見られ、残念な気分になってしまった。

もう一つNHKスペシャルの日曜に放映された、「メルトダウン」と題した番組については考えさせられた。原発事故発生当時「FUKUSHIMA50」という言葉が聞かれた。外国のメディアが、原発事故に現場で懸命に対応する人々を称えて生まれた言葉で、実際には何千人もの人が勇敢な戦いをしていた。

事故当時は、いずれ「FUKUSHIMA50」をテーマにしたNHKスペシャルが放映されることに期待し、そのような意味の事をこのブログでも書いた記憶がある。今年になって、「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の500日」(門田隆将著 PHP研究所)という本を読み、「カウントダウン・メルトダウン」(船橋洋一著 文芸春秋)を現在読んでいる。

いずれも事故対応について書かれた本であるが、特に前者はドキュメンタリータッチで描かれており、一気に読み終えてしまった(後者は読みにくく中々進まないのだが)。感動を覚えてほめたたえたいと思ったのだが、一昨日のNHKスペシャルはその感動に水を差された感じの内容だったと思う。

現場での懸命な対応だったが、後から振り返るとメルトダウンが防げたかもしれないという内容だったからだ。原発事故について、政府・国会・民間と3つの事故調査委員会が検証しているのだが、番組ではいずれも検証が不十分であることを指摘していた。例によって酔っぱらいながらなので、うろ覚えの面はあるが消防車を活用した注水が他のルートへ漏れていたというのはどの検証にも指摘されていなかったという内容だったと思う。

有識者が集まった事故調の内容を不十分と指摘したのは、メディアとしての見識を示したものではないだろうか。有識者の権威に負けず、何事にも批判的に物事を観る態度がメディアには必要であり、勇気ある提言だったと思う。

「死の淵を見た男」を感動とともに一気に読み終えてしまった私は、情緒的すぎるように思うのだが…
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