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5月の梅雨入りはあまり記憶はない。私の記憶のもとになるのはダービーがどんな馬場で行われたのかの記憶だ。ダービーは給料日の後になるように、毎年5月の最終日曜日に開催されている(6月の第一日曜に設定された時期もあったが、数年で戻された)。

不良馬場で行われたのは記憶にある限り一昨年くらいで、この40年間で重馬場のダービーもネオユニバースやタニノハローモアの勝った時くらいしか思いつかない。

それだけこの時期の梅雨入りは珍しいことなのだろう。天気予報では加えて台風の接近も伝えられており、道悪必至のダービーになりそうだ。滑りやすい馬場だと、苦手な馬はだめだが、大雨でドロドロになると文字通り“馬力”勝負になる。

こんな時によりどころの一つになるのが血統になるのだが、今年のダービーはそうはいかないのだ。出走馬が昨日発表されたが、そのうち16頭の父馬はサンデーサイレンスの子供である。それ以外の2頭の母馬の父もサンデーサイレンスである。つまり今年のダービー出走馬は全てサンデーサイレンスの孫であるということだ。

1頭の馬の孫だけでダービーが行われることは過去にもないだろうし、これからも起こることはないと思う。サンデーサイレンスという種牡馬の偉大さの象徴である。

さらにサンデーの凄さが象徴されるのは、息子の子どもが16頭で、娘の子どもの2頭に比べて圧倒的に多いことである。

サンデーの子どもは息子だけでなく、娘にも優秀な成績を上げた馬が多い。その娘との交配相手はサンデーの血を引かない種牡馬になる。当然優秀な非サンデー系の種牡馬の活躍の場が多くなり、今回の2頭の父親もダービーで強い勝ち方をしたキングカメハメハとタニノギムレットという優れた種牡馬である。

理屈の上では半々になってもおかしくはないのだが、息子の血脈の方が多いということは、優秀な息子を多数生みだしたことの証明である。

今年のドバイワールドカップを買った馬も、去年の凱旋門賞で僅差の2着になった馬もその父馬はサンデーの息子である。これだけの実績を上げたとなると、この数年のうちにサンデーの孫たちが海外の馬主に買い求められるのは必然のような気がする。

原発の事故により、日本農業もけっこう輸出産業の一員であることを知らされたが、馬産も思いがけない輸出産業になるのかもしれない。

それにしても、サンデーサイレンスを確か16億円くらいだったと思うが、巨額を出して購入した社台グループの炯眼には恐れ入る。高額所得者が公表されていた時代に、社台グループの吉田兄弟はベスト10の常連だったのだが、息子も種牡馬で活躍している今では、ベスト5の常連なのかもしれない。

孫たちのダービーだから、社台グループではどの馬が勝ってもよいのだろうが、私にとっては…








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