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先月下旬に、出張の行き帰りに読むために5冊の新書を買い求めた。そのうちの1冊は面白くて出かける前に読み終えてしまった。「ハーバード白熱日本史教室」(新潮新書 北川智子著)である。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で数学と生命科学を専攻した女性がハーバードで日本史を教えるという意外性と、何より本の帯と裏表紙に掲載されている写真に魅かれて購入してしまった。

歴史に興味を持っている人から見れば何とはない内容だが、ティーチングという観点から見れば面白い本だと思う。教師に読ませたい本だ。

ハーバードの日本史の授業は不人気科目で、彼女の赴任する前年の受講生はわずか2人という“家庭教師”状態であったようだ。それが、16人の授業でスタートし(これでも対前期比800%だ)、後期には20人にまで増え、さらに2年目の秋学期には80人、春学期に104人、3年目の秋学期では136人、春学期にはとうとう251人まで受講生が拡がったらしい。驚異的数字である。

成功の秘密は、若くて美しい日本人の先生に教えてほしいということだけでなく、授業の進め方が学生の評判がよく、キューと呼ばれる学生の評価(顧客満足度調査だ)が高い得点を獲得したことが大きいようだ。

学期ごとにテーマを変え、「Lady samurai」と「KYOTO」の2つのコースを設けている。前者はサムライの歴史ではなく、女性に焦点を当てたこと、後者は1540年から1640年の100年に絞り、さらに外交史という観点で見据えている。通史を教えるのではなく、一部分にスポットをあて、そこから学ぶというスタイルをとったことが学生の興味を引いたのだろう。

さらに、授業の進め方も先生が一方的に話をするのではなく、学生の参加を求めるというサンデル教授の白熱教室と同じスタイルをとっていることである(アクティブ・ラーニングというらしい)。

サンデル教授と違うのは、地図を書くことから始まり、ラジオのニュースや映画の製作など音響効果や映像などを最新の機器を駆使して製作し、プレゼンするという踏み込んだ形式を採用していることだ。個人学習でなくグループ学習になり、音響や映像など学生が楽しくて思わず前のめりになるような工夫がなされている。

私も研修やセミナーでは、問いかけ調で進め受講生の声を引きだしながら話を進めるというスタイルをとっているが、グループ学習を促すようなことまでは出来ていなかった。次にやる機会があれば、グループ学習の手法(セブンイレブンの観察が定番の宿題なのだが、これを数人のチームでやらせてみたい)を取り入れてみたいと思う。

数学と生命科学を専攻していた(このダブル専攻というのも凄いが)人物が、180度違う歴史の教授になるという動機に興味を持ったが、大学時代に日本史の教授のアルバイトで歴史書の翻訳を手掛け、そこで「何かおかしい」と感じたことにある(これが「Lady samurai」につながったのだろう)。彼女の持って生まれた感性なのだろう。

「印象派歴史学」という言葉を巻末に用いている。細部はぼやっとしていても、全体のイメージは鮮烈に残るということで、大づかみに切り取ることだと解釈したい。感性というのは、大づかみにする能力ということなのだろう。

大学時代のダブル専攻も凄いことだが、歴史学のドクターコースを3年で終えてしまった事、趣味のピアノを1日2時間弾き、アイスホッケーのクラブに入るという多彩さとエネルギーには圧倒される。

どんな人か興味があったのだが、先週の金曜日のプライムニュースに出演していた。函館で飽食にうんざりした夜だ。出かける前に気が付いたのだが、ホテルでBSを観られないところが多くあきらめていたが、さすが高級ホテルで視聴することはできた。

食事の時間が長く、終わりの部分を垣間見ただけだったが、想像以上に魅力的な女性だった。天は二物を与えるのだ。


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