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日本の鉄鋼メーカーが、ブラジルの鉄鉱石の鉱山会社「ヴァーレ」との間で、4月からの鉄鉱石買入価格を65%値上げする契約を交わしたことが、報じられている。65%という値上げ幅も凄いが、2000年に比べると5倍の価格になるそうで、こちらの方にさらにびっくりである。

中国やインドなど、人口の多い新興国の猛烈な成長が、国づくりの基幹となる鉄鋼の需要を押し上げたことに最大の要因がある。さらに、「資源メジャー」と呼ばれる企業があり、首位のヴァーレを追う2位の「BHPピリトン」と「リオ・ティント」との間にTOBが進行中で、これが成功すると、鉄鉱石の市場は大手2社で世界の8割近くを占めるようになるという。

鉄鋼メーカーも寡占化が進み、鉱山メーカーの方も寡占化となると、競争による価格の低下というのはほとんど望めないのではないだろうか。独占禁止法というのは国内の企業には有効なのだが、グローバルに展開している企業には、太刀打ちできないように思う。

そうなると、これらの企業に自制を働かせるのは、「CSR]という倫理意識=コーポレート・シチズンシップに頼るしかないのではないだろうか。

原油、小麦、鉄とじわりじわり原材料価格の上昇が続いている。中国という低価格生産国での生産をはじめとして「安く生活できる仕組み」が、90年代後半から整備されだし、これが非正規雇用という安価な労働力を市場に提供できる要因になったと思う。

格差を成り立たせるために、安く生活できる市場を開設することが、小泉改革路線であったとおもう。原材料の相次ぐ値上げは、この仕組みに軋みを生み出しているように思うのだが。
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