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口蹄疫の話の続きをもう少し。一つは、補償の問題である。病原菌の鎮静化を待っての生産再開であり、さらに出荷してお金になるまでの時間も必要であり、かなり長期にわたっての補償が必要である。

それでも生産者は直接的な損害がはっきりしているので、補償金額が算定しやすく、それなりの保障もできるのだろう。問題は間接的に影響を受ける人たちで、処理業者、輸送業者、卸売業者などである。

生産者は全滅だが、これらの業者は何割減の損害である。こちらにもある程度の補償はあると思うが、十分に手当てされないと雇用問題が発生する可能性はある。

何事でもそうだが、流通にはネットワークが不可欠であり、今回の措置はネットワークを痛めるもので、補償という対策でネットワークの毀損をいかに軽く押さえるか、政策当局の目配りが重要だと思う。民主党政権が標榜する、生活者の目線が問われる時だと思う。

もう一つは、口蹄疫は「人が媒介する」ということだ。疫病は古来動物によって媒介されてきた。昨年のインフルエンザ騒動も豚によるものだった。今回は、人が持ち込んで牛や豚に感染したものであり、豚や牛の世界にテレビや新聞などのメディアがあったなら、大騒動になっているのではないだろうか。

人は動物を家畜化する過程で病原菌をうつされ、やがて免疫ができて克服してきた。インカ帝国やマヤ文明には、家畜がいなかった。そのために、スペインが侵略してきたときにあっという間に滅亡したのは、武力によるものだけでなく、疫病に対する抵抗力のなさが大きく影響したとされている。

今回はインカやマヤの人たちに、牛や豚が相当する。牛や豚にとって人間は疫病神かもしれない。
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