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いよいよ梅雨の前触れか、連日の雨模様だ。今日は1日閉じこもって、企画をまとめなければならないので、好都合だ(好天だと尻がむずむずしてついつい外に出てしまう)。

口蹄疫騒動は、ワクチン接種がはじまりいよいよ大量処分に入ったのだが、種牛は処分されずに経過を観察するという。種牛55頭中のエース級6頭は隔離され、残りの49頭は処分されたはずだった。しかしこの49頭は、まだ処分をされずに様子を見ているとのことだ。

種牛は手間暇かけて選別淘汰されたものであり、畜産の根幹をなすものだから、関係者に処分をためらわせているのだろう。この話を聞いて想い出した逸話がある。

口蹄疫は蹄が偶数の動物におこるものであり、馬は蹄が一つなので罹ることはない。しかし、馬にも伝貧という恐ろしい伝染病がある。昭和20年代に馬産地で伝貧が発生し、多くの馬が処分された。その中にクモワカという名牝がおり、関係者がこの馬を密かに隠してしまったのだ。

騒動が治まって何年か過ぎてからクモワカは復活し、30年代の終わりごろに産んだワカクモという牝馬が、何と桜花賞を勝ってしまった。話はここで終わらない。そのワカクモからテンポイントという名馬が誕生したのだ。
テンポイントという馬は、強さだけでなく美しい馬だった。最後に勝利した時に目の前で見た、赤みがかった栗毛が夕日に映えたさまは、いまだに忘れられない(栗毛というより赤毛のような感じだった)。

関係者がひた隠しにしたことが、20年後に大きな花を咲かせたことになる。症状が出ているのならまだしも、何の症状もなく近くにいたというだけで処分するには、手塩を掛けただけによけいに躊躇する気持ちが働くのだろう。クモワカの関係者と、宮崎の種牛の関係者の気持ちは同じだと思う。
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