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今年の冬は最近では最も寒い冬だと思う(寒さに耐えられる身体と気力が衰えてきたからそう感じるのかもしれないが)のだが、特に陽射しの勢いのなさを痛切に感じていた。その陽射しが先週あたりから少しずつ力強さを回復し、とうとう昨日は春の日差しが実感できるようになった。連日6~7度い慣れていた身体には、13度でも十分すぎるほど暖かいと感じる。週末には18度という予報も出ており楽しみだ。

桜宮高校のバスケットボール部のキャプテンが自殺した問題から、連日のように体罰問題がメディアを賑わしているが、学校のクラブ活動だけでなく、柔道のナショナルチームの体罰・パワハラ問題が明らかになり、オリンピックに出場した選手も訴えたことにより、騒ぎが一段と大きくなりそうだ。

傘連判というものがある。お上に訴えを起こすと、首謀者も罰せられるために、傘に訴えを起こした人々の署名をすると先頭がどこにあるかわからず、首謀者が特定できないという“知恵”である。今回の女子柔道の15名によるJOCへの直訴のニュースを聴いて最初に想い出したことだ。

報道によると、最初の訴えは昨年の9月下旬に、一人の選手が全柔連に直訴したことに始まる。その結果、監督は謝罪したようで、連盟としては“一件落着”と判断したのだろう、11月に監督の続投が決定した。

JOCへの訴えが起こされたのはその1週間後で、今度は一人ではなく、引退した選手も含めた15名による連判状による訴えである。明らかなことは、選手の側から監督続投にNOを突きつけたことと、全柔連に対応力がないということでJOCに救いを求めたことである。

引退した選手も連判状に署名したというのは、相当深刻な問題であると思う。引退した選手は直接自分の利害にかかわることはなく、面倒が残るだけなのに後輩の事を慮っての行動というのは、相当厳しい“指導”があったということなのだろう。

それに対して、戒告処分だけでお茶を濁し、見方によっては監督をかばうような対応を全柔連が取った(昨日の記者会見でも監督続投を表明しており変わっていない)ことに我慢ならずJOCへの直訴になったものと思われる。ここまで嫌われたなら監督の続投はあり得ないと思う。

私が気になるのは、そこから先のJOCの対応である。「こんな訴えが来たからそちらで何とかするように」と全柔連にそのまま投げ返してしまったことだ。選手の訴えの中には、「指導体制の刷新」「問題解決までの合宿の中止」という、全柔連が対処すべきことに加えて、「第三者機関による調査」が求められている。

第三者機関というのは、JOCの事を指しているのではないだろうか。これもIOCは全柔連に投げ出してしまったようだ。JOCでは、訴えを起こした選手に対して今月2回の聴取を行ったとしている。しかし、今朝の日経の記事によると、JOCが独自に選手に話を聞こうとしなかったため、しびれを切らした選手がJOCに押し掛けて行ったというのが真相のようだ。

傘連判は代官の悪政に耐えかねた人々が、お上に訴えて悪政を正してもらうためのものである。講談の世界では名奉行が登場し見事なお裁きを見せるのだが、全柔連の悪政を、JOCというお奉行様に訴えたのに、この対応では意を決して署名をした選手も浮かばれまい。JOCの中も役人ばかりで、大岡越前はいなかったということか。

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