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今日は司法にまつわる話を二つ。一つ目は、元少年3人による連続リンチ殺人事件で最高裁の上告が棄却され、死刑が確定したことだ。

11日間に4人の命を、集団暴行により奪った残忍な事件であり、死刑はやむを得ないと思う。新聞には、当然のように「厳罰化」の見出しが踊るのだが、犯罪被害者の立場や裁判員制度の導入などで、厳罰化は進むものと思う。

ところで、この報道で気になったのは、「複数の元少年の死刑が同時に確定するのは、最高裁に記録が残っている昭和41年以降で初めて」という記事である。

裁判記録というのは永久に残っているものと思っていたが、50年前の記録が残っていないというのはどういうことなのか疑問だ。法解釈には判例が引用されるはずで、そのためにも記録は残す必要があるように思うのだが、この文章は疑問が残る。

もう一つは、最高検の調査結果である。タイトルは“意識調査”となっている。大阪地検特捜部の事件を受けて、最高検が全検事を対象に行ったもので、主な質問として「実際の供述とは異なる特定の方向での調書作成を指示されたことがある」「任意性などに問題を生じさせない取り調べを見聞きすることがある」など4項目が回答結果とともに掲載されている。

引っ掛かることの一つが“意識調査”という位置づけになっていることだ。個人的には、この“意識調査”というタイトルが嫌いだ。

調査は本音を引き出すものであり、“意識調査”だと建前しか出てこないものであり、調査というものは基本的には“実態調査”でなければならないと思っている。

主な項目として挙げられている内容を見ると、事実の有無を問うような内容となっており、“意識調査”という曖昧な表現をするよりも、“実態調査”と明言した方が良いように思うのだが、オブラートにくるむ必要があるのか勘繰りたくなる。

発表の仕方も私には気に入らない。記事には「供述と違う調書指示された 検事の4人に1人」という見出しが付いている。

「大変よく当てはまる」と「まあまあ当てはまる」の合計が26%であり、このような見出しになっているのである。

ところが、回答を見ると「どちらともいえない」16%、「全く当てはまらない」と「あまり当てはまらない」の合計が58%となっている。

この質問に「どちらともいえない」という選択肢を入れているのが理解に苦しむ(これが“意識調査”としている理由かもしれないが)。解釈の仕方によっては、この16%も「あった」と見なしてもよいのかもしれない。

さらに、「あまり当てはまらない」と「全く当てはまらない」というのは“全く”違うものであり、これらを合算して58%が「当てはまらない」とするのにも問題があるように思う。

データを見ていないのでわからないが、「全く当てはまらない」という回答はおそらく30~40%はありそうだが、はっきり指示されたことはないという回答はこの30~40%にすぎないのである。

このように見ると、見出しは「検事の3人に2人」とするべきかもしれないのである。プレス・リリースを垂れ流すと、「検事の4人に1人」という事になってしまうのだと思う。

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