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今朝の日経の社会面には、「郵便不正事件 本誌報道を検証」という記事が掲載されている。事件報道において、捜査当局の情報を垂れ流すだけの報道が多いことに問題を感じていたために、どのような“検証”をされたのか興味を持って読んでみた。

ところが、この記事を何度読み返しても、“検証”の結果何がわかり、何が問題だったのかはさっぱりわからない内容になっている。「(村木氏)逮捕までの間も、本人の主張を直接聞く機会はなく、実名とした6月15日夕刊の逮捕記事まで容疑を否認していることを伝えられなかった」など言い訳が記事の半分を占めている。

記事のもう半分は、「村木氏の弁護人に逮捕5日後から取材を始め、否認を続けていることを記事にした」や、データ改ざん事件に関して「前特捜部長には拘置所で面会し、10月15日朝刊で“検察組織に失望”などの見出しで報じた。」など、容疑者側の意見も報道しているという言い訳になっている。

検証とは言い訳かと思いたくなるような記事である。問題は“事実”を報道するという名のもとに、WHATに偏りすぎWHYをおろそかにする報道機関の姿勢にあると私は思う。

WHYの追求は“検察の構図”に委ね、“新事実”と称してリーク情報からWHATの部分ばかりを抜き出して報道するということの弊害ではないだろうか。

検察の構図というのは仮説である。仮説と“決めつけ”は似て非なるものであり、そこから冤罪事件が生まれてゆく。裁判員制度や検察審査会制度など、市民が司法にかかわる機会が生じており、誤った予断を与えないために、WHYに重きを置いた報道が必要だと思う。

よく思い起こしてみると、WHATは特ダネになるのだが、WHYが特ダネになったのはあまりお目にかかった記憶はない。WHYの特ダネを見てみたいものだが。
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