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経営コンサルタントの堀紘一氏は、JRAの馬主でもある。コンサルタントを職業にして、数10頭の馬主になれるとは羨ましい限りである。堀氏はサンスポの競馬欄に毎週コラムを連載している。経営コンサルタントの目線から競馬のあり方についてコメントを寄せられており、毎回楽しみに読んでいる。

 

数年前に、JRAの売上が3兆円を少し切った時代だったと思うが、JRAの政策として、売上25千億円を想定した戦略を練っているということに、批判的なコメントを記載されていた。

 

普通なら売上が落ち込んでいる時には、必死になって回復の努力をするものであり、堀氏もこのような指摘をされていたのだが、25千億円の戦略というのは、戦争でいうと徹底抗戦せずに防衛ラインをかなり後方に下げるようなものである。

 

こんな戦略があるのかと、訝しく思った記憶がある。その後も、ディープインパクトというスターホースが登場したにもかかわらず、売上は落ち込み続けてきたが、ここに来てようやく歯止めがかかってきた印象がある。

 

上半期のG1レースはほとんどが対前年比を下回っていたが、下半期のG1レースはいずれも僅かではあるが前年を上回っており、おそらく、今年のJRAの売上は25千億円を少し上回る線で落ち着きそうである。見事に防衛ラインを死守しそうである。

 

3兆円の売上があったときに、減少を見越し、25千億円で運営する方策(事務所移転などのリストラをやったようだ)を立て、それが実現したとなると慧眼としか言いようがない。

 

JRAの売上高のピークは98年で4兆円をギリギリ超える規模であった。バブル崩壊による不況が続いていたにもかかわらず、売上を伸ばしていたことで、“ギャンブルは不況知らず”ということもいわれていたが、その後は低落し続けており、不況の影響が遅れてやってきただけとも取れる。

 

私は少し違った見方をしている。マーケティングではユーザーセグメントの一つとして、ヘビーユーザー、ライトユーザーというわけ方をする。ヘビーユーザー=お馴染みさん、ライトユーザー=一見さんである。JRAの場合は、お馴染みさんの購買額も減少しているが、一見さんが大きく目減りしたのが売上ダウンの理由だと思う。ようやく、ヘビーユーザーとライトユーザーの構成が安定してきて、売上が落ち着いてきたのではないだろうか。

 

2002年の日韓W杯で、日本の試合が日曜夜8時から行われたことがあり、そのときのテレビ視聴率は60%を超える高いものだった。にもかかわらず、裏番組の「利家と松」は10数%の視聴率をあげており、コアな顧客はいることが証明されている。60%を超える視聴率は、普段テレビを見ないライトユーザーが一斉にテレビを見た結果である。

 

顧客の分析をするときは、このようなコアの顧客と浮動客というわけ方をしてみることが必要であろう。マーケティング・リサーチを行う時は、顧客をこのように分けるための項目を入れるのは必須ではないだろうか。

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