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昨年の国内新車販売台数は508万台で、ピークだった90年の778万台の65%にまで落ち込み、1980年の水準になったと報じられている。自動車販売は、「失われた30年」ということになってしまった。

海外での自動車販売の減少は経済危機による突発的なものであるが、国内販売の減少は構造的な問題である。構造的な要因は、人口減少と高齢化の進展である。

歳をとると車の運転が苦痛になる。私もまもなく還暦を迎えるのだが、視力の衰えがこのところ急速に進み、怖くてとても車を運転する気にはならない。高齢化による車離れはこれからいっそう進むだろう。

一方、若者の車離れも顕著である。2年に1回開かれるモーターショーを見ると明らかにわかる。90年代の初めは10~20代の若者が7~8割を占めていたが、2000年代に入ると急速に萎み、最近では目の子勘定で2割くらいにまで減ってしまっており、来場者は30~40代が大半を占めている。

そんな中で、雇用不安が発生しており、とても新車を購入する意欲は持てないであろう。雇用不安の震源地は自動車メーカーにあり、自業自得ということではないだろうか。

人口減少・高齢化社会の進展はそれだけで、将来に対する不安がちらつくものであるのに、さらに追い討ちをかけるような雇用不安の発生である。

派遣切りや雇い止めは、法的にはなんら問題はない。企業の道義的な責任が問われるだけである。CSRはこのところコンプライアンスが重視されてきたのだが、今回の経緯を見ると法令順守で事足れりという考えは通用しないのではないだろうか。

CSRは、コンプライアンスから「社会満足」の追及という点に視座を移す必要があると思う。

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