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ほうれんそうの話を少し。ホウレン草の放射線の事ではなく、「報・連・相」についてである。企業のオフィスに貼ってあるポスターでよく見かける言葉である。

私は、この言葉が大嫌いだ。クライアントの窓口に電話で連絡した時に、不在のために連絡がつかないのは、“会議”のためである。経験則では、大企業ほど、この“会議”による離席の確率が高いように思われる。

トップマネジメントに対して、「報・連・相」にもとづいてどのような資料を提出するかの“会議”である。私がお付き合いをした会社では“A3文化”があり、役員会や経営委員会などトップ用の資料は必ずA3一枚にまとめるという不文律のもとに、何をどのようにこの一枚の中に収めるかで“会議”が開かれていた。

「報・連・相」という言葉は、上が楽になるために、下が苦労するものにしか私には見えない。トップ自らが情報収集をするべきで、有能なトップは、独自のチェックポイントを設けているものである。

なぜこの問題を今取り上げたのかというと、菅首相は自分のところに情報が上がってこないということで、“イラカン”ぶりを発揮しているという記事を目にしたからだ。

整理されないままに膨大な情報が上がってくると、いくら優秀な人でも、パンクしてしまうだろう。整理をするためには人手を要し、そのために“会議”を開く必要があるかもしれない。今はそんな悠長な事を行っている時期ではない。

今回のような非常時には、情報にも“トリアージュ”が必要だと思う。この任を担うために、内閣官房参与として二人を任命したとすれば、“イラカン”から一歩前進したのだと思う。

私たちにも、“情報のトリアージュ”が必要だ。特に、放射能という目に見えないものの危機があるだけに、尚更である。

メディアは、“情報のトリアージュ”が本来の機能であり、農作物や水の汚染に対してはいつものように騒ぎ立てず、控え目な報道をしているのが印象的である。

日刊ゲンダイが休日のために発行されていないのが救いだ。
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