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昨晩テレビのCMで「成田5番街」のスポットが流れていた。成田空港のターミナル整備事業の一環として、新たに「エルメス」や「ティファニー」などのブランドショップや免税店が入居した商業スポットが4月9日にオープンすることの告知広告である。

成田空港では4~5年前に、何度かCSについての講演を行ったり研修をしたりしたことがある。東京国際空港公団から民営化されるにあたり、CSを中心に据えて職員の意識改革を推進するという狙いがあった。
成田空港はアクセスが悪いうえに、飲食施設の値段が高くサービスも悪いという利用者の不満が多いのに対して、職員側にはCSについての意識が乏しいという状況であった。

例えば、私は仕事で会社を訪問したときに、なるべくその会社の社員食堂を利用するようにしている。社員食堂を見れば、どれだけ会社が従業員を大事にしているかがチェックできるためである。公団の社員食堂は、安さだけが取り柄で毎日利用するのは遠慮したいレベルであった。

そこで次の日には、歩いていける空港の施設を利用することにした。行って驚いたのは、空港職員と同行したわけではないが、スーツ姿である店に入ると、いきなり職員専用のメニューが出てきたことである。
高いことで有名だった飲食施設が、リーズナブルな価格のメニューを空港職員に用意していたのである。原価積み上げ方式で家賃を設定しているために、料金は高くせざるを得ず、公団が価格競争にならないようにするため価格設定も許認可する仕組みがあったほどである。あきれかえって、早速改善を強く求めたことがある。

このような典型的お役所体質であった空港会社も、民営化やシンガポールのチャンギ空港や、韓国のインチョン空港との国際競争にさらされ随分体質が変わり、今回の「成田5番街」になったと思う。

成田空港の当初の設計思想として、スムーズに客を捌くという考えがあり、施設を楽しんでもらうという概念はほとんどなかった。しかし、実際には出発まで2時間以上空港内に旅客は滞在することが多く、楽しみをいかに生み出すかが課題の一つとなっていた。

民営化されて以降の変化として顕著になったのは、広報活動が積極的ななったことである。ニュースでのよく「成田空港では…」というのをよく耳にするようになった。空港のTVCMも今回初めて目にしたように思う。民営化の成功事例の一つかもしれない。

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