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邪馬台国はどこにあったかという論争では、大和説の方が優勢にあるように思う。しかし、私は昨日から九州説、しかも北部九州ではなく日向にあったとする意見に賛同するようになった。

このように考えるにいたったのは、「日本古代史を科学する」(中田 力著 PHP新書)を読んだからである。自分の会社にサイエンスという言葉を取り入れたように、私は“科学”という言葉にはこだわりを持っている。古代史という一見科学とは無縁に思えるものに、科学のメスを入れるという面白さに魅かれて、タイトルだけでこの本を買ってしまった。

著者の中田力(なかだ つとむ)氏は、医師でありファンクショナルMRIの世界的権威と紹介されている。さらに、複雑系脳科学の世界的権威であるとも書かれており、“科学する心”でどのように古代史にメスを入れるのかの興味もあり、病院での待ち時間と行き帰りの3時間ほどで読み終えてしまった(手術した眼の定期検査の日であり、散瞳されたため読み辛かったにもかかわらずだ)。

この本では、古代史の謎ときにあたり、複雑系科学的アプローチをとり、その分析・論理展開を行っている。この本の主題は日本古代史の原典ともいえる「記紀」の読み時にあるのだが、目次を見ると序章は「21世紀の科学」というタイトルから始まっている。その中は、「人文科学」「物理学の終焉」「考古学への応用」という3つの節にわかれており、1+1=2を前提とした線形物理学の限界と、複雑系科学の考え方が概説してある。

一言で複雑科学系アプローチの特徴を現わすと、「条件設定と全体像の把握」ということになるのだろう。私の仕事にも相通ずるものがあるというか、そのままあてはまるものであるように思える。以下におろそかにしていたか、深く反省!

この本では「記紀」にいたるまでの出発点として「魏志倭人伝」を取り上げ、そこから邪馬台国日向説まで分析が展開されている。科学者らしいのは、「宇宙考古学」という衛星画像を用いた手法も交えて、魏志倭人伝の記述内容を辿り日向の地にまで進んでいくのである。

さらに、人の染色体解析や稲の遺伝子分析から、日本人の成り立ちについて考察を進めている。どうやら弥生人というのは、中国からの渡来人であったようだ(朝鮮半島経由でないところがみそのようだ)。

この本の最後は、「万世一系」という言葉で締めくくられている。学習院の初等科から高等科まで学び、東大医学部に進んだ人らしい結論の導き方ではある。結論はともかく、途中のテンポよい分析の進め方は推理小説を読んでいるような気分になり、面白い本だったと思う。
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