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ねじれ現象を引き起こすのは、衆議院と参議院の選挙制度の違いにある。衆議院選挙では、得票率が50%に届かずとも少しのブレが積み重なり圧倒的多数を得る事が出来るが、中選挙区と比例区が大半を占める参議院選挙では得票率並みの議席しか獲得できないことになる。

こうした点からすると、今回の選挙結果は納得できるもので、少し民主党がが負けすぎただけである。自民党と民主党の差は、小選挙区である1人区でのブレが自民党に少し傾いたことによる。その結果が21:8の大差になったのだが、3年前の選挙では全く逆の推移を辿り、民主党は60の議席を獲得したが、今回の自民党は50を1つ上回っただけである。この差は、基礎体力の差である。

民主党にとっての痛手は、みんなの党に食われたことである。中選挙区の2人目を取りこぼしたのが神奈川と千葉であり、比例区も5議席は取り損なったのではないだろうか。これが50議席を大きく下回る大敗の要因である。

ねじれがこれから6年も続くことが確実で、政治の混迷が長引くことへの悲観的な論調が多いのだが、私はむしろ新しい政治の意思決定の仕組みが生まれるチャンスだと思っている。

成熟化社会には二大政党制はそぐわない。成熟化社会は、選択の自由度を求めるものであり、選択肢が二つしかないのは時代に逆行するものである。そういう意味では、参議院の選挙制度の方が、有権者のニーズにはあっていると思う。

店舗に例えると、メガ政党は百貨店や総合スーパーのような存在で、幅広い分野の品ぞろえを誇るが、ミニ政党は特定分野に品ぞろえを集中する専門店である。

百貨店は10数年来の不振をかこっているが、衰退の著しい自民党の姿はダブって映るような気がする。総合スーパーも各地の小売業を席巻してきたが、その勢いにも陰りが見られ、これも民主党と重なるようだ。

連立政権は、郊外のショッピング・センターのようである。大型スーパーを核に、専門店が集まり魅力的な商業集積を提供している。消費者の選択の自由度への要請に応えた業態である。

ショッピング・センターへの出店は、自らの力だけでは得られない集客力が期待できることで、専門店にもメリットはある。自らの政策主張を実現しなければ存在意義が問われるミニ政党にとっても、ショッピング・センターへの出店は意味があることになる。

ショッピング・センターの経営に関与する=内閣に参加する連立だけでなく、立地を見定めて特定のショッピング・センターに出店する=部分連合による政策決定を採る方法がある。

私は、後者の方が望ましいと思う。連立政権とするためには、政策課題について総合的な合意が必要である。マニフェストもそうだが、その中身についてすべて賛同する人はそうはいないはずであるが、パッケージとしてその中身はすべて一体のものとしている(だからマニフェスト至上主義は大嫌いなのだが)。

これでは社民党のような連立離脱が起きるのは当然のことになり、混迷を招くことになるのだと思う。部分連合は、知恵の出し合いである。部分連合は、政治の質を上げる起爆剤になると期待しているのだが。
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