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内閣府が実施している「景気ウオッチャー調査」の6月の数値が公表された。堺屋太一が経済企画庁長官だった時に始めた調査で、タクシー運転手や飲食店の経営者など日々の景気動向を肌で感じている人々の“実感”を指標化したものである。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2013/0708watcher/bassui.html

6月の景気指数は53.0で、5月よりも2.7低下している。民主党政権時代は目安とされる50を大きく下回り(プラスからマイナスを引くという日銀の短観とは違い、重みづけ計算なので50が目安となるというのは疑問に思うのだが)、安倍政権誕生前には40を切る水準にあった。

それが新政権誕生とともにジリジリ上昇し、3月末の調査では57.3というピークに達したが、4月の日銀の“異次元緩和”が発表された直後からは少しずつ減少に転じ、6月で3カ月連続の低下ということになっている。

過去最高がどの程度の水準であったのかを比較しようとしたが、探し方が悪かったのか内閣府のHPでは、一覧表がなく各月の報告書から拾うしかなかった(過去6カ月の推移が記されているので、6月と12月を調べればよいのだが)。04年から05年にかけて57を超える時期が何度かあり、今年の3月の57.3というのは失われた20年の中では最高水準に近いのだろう。

小泉政権当時は戦後最長の経済成長が記録されたのだが、その成長率はそれほど高くはなく、“実感なき経済成長”という言葉がよく用いられた時代である。今回のピークである57.3というのもその時と同じようなレベルであり、高度経済成長時代や、バブルの時代を知っている人間からすると、好景気というのは景気指数が70を超えるような水準にならないと認められないのかもしれない。

と思っていたのだが、私が注目している景気指標は上昇気配をつけている。昨日から始まった競走馬の「セレクトセール」である。

馬券の売り上げは右肩下がりで、賞金も減額が続いているのに、競走馬のセリ市場では過去最高を記録しているのである。昨日開かれた1歳馬市場の売り上げは62億円で、昨年の55億円よりも1割以上増加している。1億円以上の値段がついた馬も9頭と、去年の6頭よりも増えており、馬主たちにとっては好景気を実感している人が多いのだろう。

馬主になる人は企業のオーナーが多いと思う。大企業の経営者は雇われ経営者で、馬主になれるほど財力はなく、中堅企業のオーナー経営者が中心である。賞金が減額されているのに、高額の馬が多数取引されるというのは、中堅企業のオーナーの懐具合が暖かくなったのかもしれない。

今日は当歳馬のセリが行われる。昨日の1歳馬市場で購入した馬は、体つきはもう大人になっておりこれから調教を施し来年には出走できる“即戦力”に近いのに対し、当歳馬はこの春生まれたばかりのまだ仔馬である。この先どのように成長するのかわからない段階での購入で、青田買いのリスクが大きいものである。

リスク覚悟でどれだけ馬主がお金を出すのかを見れば、中堅企業のオーナーの景気実感がわかると思うのだが。

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