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昨日は、iPS細胞の京大山中教授のノーベル賞受賞が決まった。世の中の常識を大きく覆すような革命的な研究成果について、“ノーベル賞級の発明”という言葉を用いるが、iPS細胞というのはまさにノーベル賞級の発明と誰もが認知しており、違和感はなかった。

21世紀にはいって日本人のノーベル賞受賞者は急増しているが、ほとんど化学・物理学部門だったこともあり、我々にはあまりなじみがなく受賞は“突然の知らせ”であることが多かった。授賞理由もよくわからず、新聞の報じる解説を読んで、「そいうことか」と納得するものが多かったが、今回の山中教授の“ノーベル賞級の発明”については十分認知しており、納得できる受賞だった。

CSの話をする時に、“満足”というものは2通りあるとよく話をしている。あまり期待していない時に、思いもよらない満足に遭遇する“思いがけない満足”と、期待感にワクワクしながら期待通りの満足を得る“期待通りの満足”の2通りである。

企業にとってより大事なのは、後者の“期待通りの満足”である。期待される=選択につながるためで、CSとは期待値をいかにあげるかということが重要なことになる。しかし、期待値をあげすぎると失望を生み、そのさじ加減が難しくなる。

これまでの日本人のノーベル賞受賞は、突然の受賞決定に驚く思いがけない満足型だったのだが、山中教授の受賞は期待通りの満足型と言えると思う。これまでの受賞とは少し違う受け止めをした人が多かったのではないだろうか。

ただし、これまでの受賞者の多くは30年ほど前の業績に対して評価されることが多く、iPS細胞は発見されて6年ほどしか経っていないため、いつかはノーベル賞になると思われたがこんなに早く受賞するというのは少し意外であり、ちょっとしたサプライズである。

これまでは“突然の受賞”で、詳細な報道は翌日になってからということが多かったと思うが、昨夜のNHKの報道ぶりを見ると、事前に十分準備をしていたことがうかがえるもので、これも“期待通り”の成果なのだろう。

日本にはもう一人、期待通りの満足型の候補者がいる。こちらも期待が実現するのだろうか。

iPS細胞の、iの文字が小文字なのは「多くの人に研究に親しんでもらえるようアップルの携帯音楽プレーヤー“iPOD”にちなんだ」というのは今朝新聞を読んで初めて解った。


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