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この日曜の夜に放映されたNHKスペシャルは考えさせられる番組であった。放射能の海への汚染の状況について、NHKが独自に調べたデータをもとにした番組だった。

海に流れ出た放射能は、海流によって拡散され希釈されるというのが事故当時の原子力安全保安院の見解だった。しかし、現実はそうでもなく海底に沈殿しているというのがNHKの調査結果だった。

海底の地層により濃淡があるようで、岩盤のところは薄く、汚泥に多く沈殿しているとのことである。泥の中にはゴカイが生息し、泥を食って生きている。そのゴカイを魚が食っており、食物連鎖により魚の汚染はドンドン拡がっているようである。メヒカリを食べられないとこのブログで書いたことがあるが、常磐沖の名物であるアンコウやヒラメ、アイナメなどもアウトである。

常磐沖の魚以外にも汚染された魚がいる可能性がある。驚いたのは、東京湾奥でも原発近くと同じレベルの放射線が観測されているホットスポットがあることだ。東京湾は潮の流れからすると、影響はないように思われる。しかも湾奥ならなおさらだ。

番組によると、空気中の放射能が雨によって川に流れ込み、川を経由して流れ込んできたものが堆積しているため、河口付近にホットスポットが出来てしまうとのことである。

空気中に拡散したものが、河川により集約され、さらに河口で積み上げられるというメカニズムのようである。空気中では薄いものも、このような仕組みがあるとなると、遠く離れた地域の河口にも同じようなことが生じていると考えるのは自然の流れである。

しかも半減期は長いために、時の経過とともに、濃度を増すかもしれない危険性がある。長期的な体制で、広範囲に海の汚染の実態を観測する必要があるだろう。

そもそも観測は、NHKの仕事ではない。政府が責任を持って行うべきなのに、魚介類についての定点調査を続けているが、その大元になる海底の土壌のチェックは全く手をつけていない。

福島県の二本松で、原発地域から避難してきた人が多く住む賃貸マンションのホットスポットが明らかになった。汚染地域からとれた砕石を利用したコンクリートが原因だという。海底の土壌検査の欠落と同様に、政府の対応が後手後手になっていると言わざるを得ない。

対応の遅れということだけではないと思う。役人の中にたるみがあるのではないだろうか。広島刑務所で、せっかくの高い塀に足場を組んで「逃げてください」というような状況で、監視体制を強化しなかった(監視カメラに脱走の模様が映されていたのに、それを見る人がいなかったのはその典型だろう)り、大晦日に出頭してきた平田容疑者をたらいまわししたのも同じ文脈だと思う。

顧客は国民だということを完全に忘れ去ってしまっているように思う。公務員給与の大幅カットが遡上にあるため、やる気がなくなっているのだろうか?
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