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東京都が買収交渉を発表した尖閣諸島購入計画への寄付が、28日現在で9億5千万円になった。このところペースダウンしているものの、1日3千万円前後で推移しているため、今日にも10億円は突破しそうである。

メディアは意図的なものがあるのか、このことをほとんどニュースとしては取り上げていない(もっとも私がチェックしているのは、日経とNHK、BSフジのプライムニュースだけなのだが)のに、これだけの金額が集まっていることは驚きである。

数年前にファンドレイジングについて調べたことがある。NPOは非営利活動を行う組織であるため、その活動経費は民間の寄付によって賄われている。寄付をいかに募るかというファンドレイジングの力が、個々のNPOに備わっていないと活動の継続が難しくなる。

そのためには、人々の日常活動の中に寄付をするという習慣が定着していなければならないのだが、日本では寄付で集まる金額は2兆円程度なのに、アメリカでは日本の10倍以上の20兆円を超える金額が毎年集まっている。

しばらく前までは、アメリカは日本の2倍という物差しをあてて彼我の比較をすればよかったのだが、失われた20年を経た結果、3倍の物差しで比較するというのが私の目安になっている。この基準からすると、寄付ということに対する日米格差は相当大きいと判断できる。

その背景には、宗教の違いによるところが最も大きいと思うが、さらに貧富の格差の大きさも影響していると思う。“弱肉強食”の価値観により、金持ちは青天井の金持ちになれる世界では、寄付という“罪滅ぼし”をしなければ社会秩序が維持できないのであろう。金持ちの寄付のスケールが違うのである。

私は、罪滅ぼしをしなければならないような金持ちが増えることは好ましいことではないと思っているので、日米の寄付市場の格差が5倍程度が妥当なところだと見ている。5倍ー3倍=2倍が罪滅ぼしの部分である。


寄付文化が根付くためには小口の寄付の集まりが重要であるが、尖閣への寄付は6万7千件で9億5千万円になっており、平均すると1万4千円になっている。100万単位の寄付もあるのだろうが、多くはきりのよい1万円になっていると思う。程よい集まり方ではないだろうか。

10億円に到達した時にメディアでは多少取り上げるだろうから、12~3億円まで伸びるかもしれないのだが、もう一つ取り上げてほしいものがある。

「高田の一本松」は震災から生き残ったものの、結局立ち枯れが決定的になった。地元では、防腐処理を施し、震災のモニュメントとして保存することを決定した。費用が8千万円ほどかかるとのことなのだが、これを寄付で賄う計画だという。

一言ニュースで取り上げるだけで、保存費用は賄えると思うのだが。
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