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洞爺湖サミットで使用する電力は、「グリーン電力証書」を使用して賄うことになった。この証書を購入すると、自然エネルギーを使用したとみなすことができる制度になっている。

 

太陽光や風力などの自然エネルギーによる発電は、既存の発電システムよりもコストが高く普及が進まないのを補うために、新しく生まれたシステムである。

「みなすことができる」という制度は、どこかの神社でやっている「この日に参拝すると○○回分参拝したことになる」というご利益と同じような感じがして、いかがわしい臭いが漂っている。

 

電力の自由化に伴い参入した民間の電力供給のかなりの部分は、石炭による火力発電だという。石炭は石油などに比べて発電コストは安いのだが、二酸化炭素の排出量が多く環境面からは逆行を促進していることになる。市場原理に何の手も加えなければコスト面だけの優位性で安きに流れるのは当然のことである。

 

価格の力により、消費者の価値体系を一変させることができなければ、環境問題に対処できないのではないだろうか。反対論者は、経済成長と競争力を損なうことを声高に叫び、アメリカ政府が金になるバイオエタノール以外は、環境問題に後ろ向きなのはそのためなのだろう。

 

利便性が大きく損なわれることになることも言われるが、消費者は利便性をそれほど重視しているのだろうか。TASPOの本格的導入に伴い、自動販売機によるタバコの売上は激減することが予想される。自動販売機という利便性の塊を放棄したとしてもよいというのが、消費者の判断である。

 

安部内閣の目玉施策の一つであったイノベーション25の報告書をみると、2025年の世界には、こういうことが出来るようになったという利便性向上施策ばかりが並んでおり、違和感を覚えたことがある。

 

和の文化を尊びスローライフを満喫するという、利便性とは対極にあるものが、これからの高齢化社会の主流になると思うのがどうだろうか…

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