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板橋区で起きた主婦の殺人事件は、まだ犯人の逮捕には至っていないが、容疑者の特定はされているようで、ここまで来たら犯人は観念するのではないだろうか。

この事件の捜査の進展状況は連日のように、“新たな事実”として報道されており、昨日にはとうとう「豊島区に居住していた窃盗事件で過去に摘発された20代前半の男」という発表までされている。ここまで発表してよいのだろうかと心配したくなるほどの手の内の明かしようである。

この事件の発表内容を見ると、犯人が盗んだキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出したことからスタートしている。「この男が犯人だ」ということを特定できたからだろう、衣料品店で着替えを購入し、パチンコ店のトイレで着替えた上でATMに出かけたこと、その後次々に複数の駅で乗り降りをしたことが明らかになっている。

これらの情報は全て監視カメラの情報によるものであり、「顔認証技術」と「ビッグデータの解析技術」の賜物と言わざるを得ない。

顔認証の技術は、ロンドンの地下鉄爆破事件を契機に拡がった技術で、テロ対策の武器として急速に技術開発されたものだ。当初は、「人相の判別」というような単純(?)なものだったが、今では仕草や歩き方などから人物の特定ができるようになっているらしい。

しかも、監視カメラの膨大な画像データの中から、瞬時にその人物を特定するというビッグデータの処理技術により、連日のような捜査の進展状況の発表となったようだ。

これだけ公表できるのも、「お天道様はお見通し」で逃げおおせることはできないという自信の表れだろう。この事件が解決し、捜査の進展状況がもっと詳細に報道されれば、IT技術を駆使した捜査方法が、犯罪の抑止力になるかもしれない(淡い期待だが)。

これから警察小説を書く人は、この捜査方法についてどのように扱うのだろうか。
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