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日経平均株価が1万4千円を割り込んだ。株安のおかげで時価に対する配当率(1.72%)は長期金利(1.47%)を上回っており、合理的な経済行動とはいえない。これも「気分」を対象とする「行動経済学」の大きなテーマになるのではないだろうか。

判断についての話の続きを少し。日本国語大辞典に掲載されている、判断についての4つ目の意味は「(ドイツ語のUrteilの訳語)哲学で、ある命題または思考内容を肯定または否定する精神作用。伝統的論理学で、主語について述語を肯定または否定する働き」とある。

言い換えると賛否を明らかにするということだ。ただし、厄介なことは賛成にしろ反対にしろ程度の問題があるということだ。賛成にも積極的賛成と消極的賛成があり、反対にも消極的反対と積極的反対がある。積極的賛成・反対は旗幟鮮明であるが、消極的賛成・反対はどちらつかずであり、「問題先送り」の隠れ蓑にもなる。

これまでの日本国語大辞典による意味を考えると、判断というのは「今どうなのか(現状分析)、今後どうなるのか(将来予測)をもとに、今後どうするのかを決めることであり、曖昧な態度を許さず旗幟鮮明にすること」と解釈したい。

岩波新書から「判断力」(奥村 宏著)という本が出ている。奥村氏は経済学者の範疇に入るのだが、理論から事象を説明するのではなく、現実を分析することにより理論を考えるという態度であり、経済学者(特に「御用学者」)批判を本書では展開している。

この本の中で、判断しない(消極的賛成)事の弊害を縷々述べている。日本人は元々“わのくに”であり、決めないことを美徳としている風もある。「決めること」についてもう少し考えてみようと思う。
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