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昨日のトップニュースは、松下の社名変更だろう。松下幸之助が一代で築き上げた会社の名前から、松下の文字か消え去るのだが、創業者の氏名を社名にしているのは大企業にあっても結構ある。

トヨタ、ホンダ、ヤマハ、スズキなどがその代表事例であり、世界的なブランドになっている。松下も創業者の幸之助が偉大だった(昭和の経営者として5指に入るのではないだろうか)だけに、一抹の寂しさがある。

「松下VSソニー」という研究を行ったことがある。両社の人と話をすると、何かにつけて相手の社名が出てくる。ライバル意識は相当なものである。

この研究は7~8年前に行ったのだが、この時に実感したのは、電機メーカーというのは最先端の成長産業と、成熟産業が同居するという事業経営の舵取りが難しい業種だということである。

その結果意思決定の早さが求められることになり、分社や執行役員制度など新しい経営制度をいち早く導入したのはソニーであった。90年代の初頭には連結で半分だった松下との差を、21世紀に入る頃には逆転してしまったのも、この経営の意思決定のスピードの差であるといえる。

逆に松下の90年代は、「失われた10年」という言葉がそっくり当てはまり、お題目はいくつも掲げられたが、変革できないまま時を過ごしたといえよう。その原因の一つが「松下家」の存在である。

重要な意思決定にいつも松下家の意向がチラホラ見え隠れし、スピード感に乏しく大胆な発想ができにくい土壌があったように思われる。今回の改名は、松下家との訣別を明確にしたものだと思われる。

それにしても、トヨタやホンダなど創業者名を冠して世界的に成功している会社は、何故かカタカナ3文字であり、浜名湖周辺から出発している。この地域には、起業を促し、企業を成長させる固有のDNAでもあるのだろうか。
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