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今朝の日経のトップ記事は、南海トラフ地震が発生した時の、被害想定についてのものだった。想定される最大規模を9.1とし、その場合死者32万人、経済的被害220兆円を試算している。国家予算の2倍以上損害となるのだが、“対策を講じれば”被害は110兆円まで減らすことができるという内容である。

2003年に政府が公表した、東海、東南海、南海の3連動地震の被害想定は81兆円だったから、被害想定額は2.5倍に膨らんだことになる。政府は「デフレからの脱却」を旗印に掲げているが、被害想定では充分デフレを抜け出したということか。

役人が出す予測値については、私はいつも眉に唾してみることにしている。特に事業の経済効果の予測値などは、予測ではなく“願望”だと思っている。東京湾アクアラインの時の“予測”などはその典型で、5千円の通行料金でこれこれの台数が利用するから、建設費はこれだけの期間で回収できるという予測ならぬ願望を振りかざし、事業化に結び付けたものだと思っている。

この予測値の最も大きな誤りは、消費者の“値ごろ感”を全く無視した点にあったと思う。5千円という当初の価格設定は、競合するフェリーの価格と同じレベルであり、時間を大幅に節約できるからという要素も踏まえての価格設定だったと思う。私も開通当初早速利用してみたが、直観的に感じたのはチョッと高いというものだった。

消費者感覚として、高速料金は「1分間100円」というものがあると思う。1000円の高速料金を支払ってもよいと思うのは、10分から15分走った時であり、10分の走行に5千円を支払うというのには抵抗を覚えるのである。冷静に考えると、いくら時間を節約できるからということになるのだが、アクアラインの開業以来しばらく続いた不振は、この消費者の値ごろ感からのズレにあったと思う。

経済効果の試算は“願望”という見方は正しいと思っているのだが、被害想定額も同じようなことが言えるのではないだろうか。特に今回の算定の味噌は、“必要な対策”を講じたらという点にある。政権は国土強靭化対策として、10年間で100兆円を投入する計画を打ち出している。“必要な対策”をとることによる被害の想定減免額は110兆円であり、10兆円のおつりがくる勘定だ(“本当に必要な対策”は100兆円では治まらないような気がするのだが)。

被害想定の難しさは、どんな被害になるかは誰もわからないことだ。想定外の事も起こりうるだけでなく、実際の被害は想定内に留まるものも数多く起こりうる。政府が出した数字を見ても、「そんなものか」という感想しか持ち得ないのではないだろうか。

もう一つの問題は、こんな大きな被害がいつ起こるのかわからないということだ。最大規模を東北の大地震9.0よりも大きいマグニチュード9.1としてのものだが、次の3連動地震では8クラスかそれ以下かもしれない。発生確率についてはこれから“検討する”とされているのだが、1千年に一度というものに巨額の費用をかけることが必要なのだろうか疑問だ。保険にしてはあまりにも大きすぎるように思うのだが。

WBCでは3度目の奇跡は起こらなかった。東京ドームでのオランダ戦で、ドームランを連発してしまった後遺症が出たと思う。昨日の試合は8三振を喫したが、全て空振りの三振で、低めのボール球を振ってのものだった。福岡ドームで2次ラウンドもやっていれば結果は違ったのではないだろうか。

それにしても、プエルトリコのキャッチャーは流石にメジャーでのナンバー1と言われるだけの事はある。
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