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日銀総裁の人事が暗礁に乗り上げている。自民党の推す財務省元事務次官の武藤副総裁の昇格に、財・金分離を主張する民主党が反対をしているためで、ねじれ国会の象徴的な出来事である。

このような情勢の中で、かねてから反対されていた武藤副総裁を、任期切れ寸前にあえて提案し、中央突破を図るということなのだが、自爆行為ととられても仕方がないだろう。ねじれの発生により、「政策協議」を通じて妥協点を見つけ出すという、新しい政治の運営方法を確立するという考えはないのだろうか。知恵のない話だ。

そもそも、日銀の運営は、財政当局から独立したものでなければならないはずで、財政部門の責任者が就任すること自体がおかしく、民主党の意見には筋が通っていると思う。

現在の日本の閉塞感は、異常な低金利が10年続いていることも一因だと思う。国民金融資産が1400兆円もあるらしいが、低金利政策のために恩恵がまったくでない仕組みになっている。恩恵を受けるのは金融機関と大企業だけである。

個人の所得を銀行に転嫁するという異常な金融政策を続けているのは、国と自治体で700兆円を超える借金がある中で、利払い対策でもある。このような構図の中で、財務省のトップを勤めた官僚がフリーハンドで金融政策を進められるのだろうか。大いに疑問がある。

道路特定財源と、日銀総裁の人事問題とセットにしたら、十分選挙の論点になりえるものである。福田首相があえて人事問題で中央突破を図るのは、自爆して選挙に持ち込む腹かもしれない。
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