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熟義の国会は夜なべで行われ、予算案が衆議院を通過した。与党からは造反議員が出、野党は党利・党略丸出しで、自分たちが何をしなければいけないかを忘れて、権力闘争にばかりうつつをぬかす政治家どもにはうんざりする。

民主主義による意思決定は、数の多い方に従うというルールである。そこには合意形成というプロセスが含まれることにより、政策の継続性が生まれるのであり、合意がないままだとバランスが崩れるたびに政策にもゆがみが生じ、一貫した道筋が描けないことになる。

右肩上がりの時代には、合意形成が上手くいかなくても、社会全体の成長力により何とかなったのだが、右肩下がりの時代には優先順位を定めて行動しなければ、悲惨な事になるのは明らかだ。なのに残念ながら、日本の政治には合意形成のための手法が確立されておらず、何度総選挙で政権の枠組みを替えても、その先に展望が開けないのではないだろうか。

合意形成には、基本的な認識が一致することが前提にあると思う。いいかえると、「論点整理」が出来ていることだと思う。

マニフェストを見ていると、アウトプットの羅列であり、基本的認識というか論点整理が不十分な感じがする。アウトプットばかりに目が行きすぎ、なぜそのようなアウトプットが必要かという議論が足りないのである。

論点整理をきちっとやるためには、政党にはしっかりとしたシンクタンクを持つべきだと思う。自分たちの主張の正当性を後付けするためではなく、主張のベースを作るためのシンクタンクである。現状ではどうも前者の役割しか果たしていないような気がする。

論点整理が不十分なまま、今衆議院を解散しても、どの政党も過半数を握れず、このまま「失われた30年」に向かってまっしぐらに進みそうだ。
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