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一斉休漁については、このブログで何度か取り上げたが、当初漠然と考えていたことよりももっと深刻な問題をはらんでいるようなので、もう少し続けたい。

漁業者にとって燃料の値上がりが大きな意味を持つのは、朝日新聞の昨日の社説で取り上げられた記事でようやく納得できた。次のような記述がある。

「漁師たちの窮状はよく分かる。漁業の生産コストに占める燃料費は3~4割。運輸業界が1割程度だから、原油高ショックの大きさは他産業の比ではない。燃料を多く使う遠洋漁業だけでなく、近海漁業でも大半の漁船が赤字に追い込まれている。 」

燃料費が3年間で3倍になったことが、今回の騒動のきっかけであり、生産コストに占める燃料費は3~4割という表現は何時の時点のことを言っているのかよくわからず、いい加減な表現だという気はする。しかし、燃料費が大きなウエイトを占めるだろうことは想像がつく。

漁業のコストを考えると、固定費は船、魚探やレーダーなどの設備、漁具などの減価償却の部分と人件費である。一方、変動費は、燃料代、餌代、消耗品に手伝いの人件費を加えたものになるが、家族経営が大半になる沿岸漁業では人件費は無視できる。変動費のほとんどは燃料代と見てよい。

売上-変動費=限界利益という算式がある。限界利益がある限り操業を続けるのだが、今回の一斉休漁はこの限界利益が出なくなったためのようである。

限界利益に対する考え方は、設備投資に対する考え方によってかわる。家族経営的な漁業では、新造船などはあまり考えず、設備投資負担が少ない(=設備を使い続ける)ため、限界利益のハードルが低くなる。このハードルの低さが、魚価が低迷する大きな要因となっていると思う。

現在、築地市場のセリは、2部構成になっている。一般のセリの前に、大手スーパーが大量に買い付けるセリがあり、大勢はこの段階で決まってしまうようだ。

大手スーパーのバイイング・パワーが、値上げの圧力を押さえ込んでしまっているのではないかと思う。スーパーの売上は10年連続で低下し続けているが、その要因の一つはスーパー自身が、低価格化を志向しているためであり、プライベート・ブランドの大量開発などもその一例である。

魚価も例外ではなく、スーパーのバイイング・パワーの前に、思ったような値上げができないでいる。家族経営で限界利益のハードルが低いために、これまで隠されていた問題点が、燃料費の高騰で一挙に吹き出たのだろう。

スーパーが成長したお陰で、便利になり、安さも満喫できているのだが、スーパーにより生業的な小売店がドンドン閉店に追い込まれ、地域力が減退するなどのデメリットも大きい。スーパーのトップと漁業関係者のトップの話し合いが必要ではないだろうか。

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