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ようやく春の臭いが感じられるようになった。季節を分ける節分の言葉通りである。節分の豆まきといえば力士と歌舞伎役者がニュースネタになるが、昨日はどの関取も寡黙だった。存廃の危機にさらされ、来年の豆まきに呼ばれるかどうかわからない事態になっているのだから当然だろう。

野球賭博の問題では、違法行為ではあるが“やんちゃ”のしすぎということで、寛容な眼で見る向きもあったと思うが、八百長問題は本質にかかわる問題でもあり、春場所の開催は許されないだろう。歳を取るに従い、相撲が好きになってきただけに残念だ。

相撲の魅力は立ち会いにある。はじめて相撲を見る外国人が不思議に思うのは、立ち会いを誰が合図をしているのかということが一番多いと言われている。

対戦する力士同士が呼吸を合わせるということが理解できないらしい。呼吸を合わせるのだが、いかに自分の呼吸に合わせるかの駆け引きがあり、初場所の白鵬が稀勢の里に負けた一番は白鵬が相手に合わせてしまったためだと私は思っている。

「阿吽の呼吸」を大事にする精神が、八百長を生み出す土壌になっていたのかもしれない。これから徐々に明らかになってくると思うが、今回のキーマンは三段目の力士であると思う。

業界用語では、八百長の仲介人を「中盆」というらしい。読み方や語源はよく知らない。一昔前の週刊誌による八百長スクープのおりには、横綱の付け人が中盆として走り回っているとされていた。

仲介者は動きまわることが必要であり、ベテランの幕下力士が最適なのだろう。今回の三段目力士は31歳のベテランであり、30を過ぎるまで芽が出ないと普通はとっくに廃業をしているはずなのが、裏も表も知り尽くした“阿吽の呼吸をわかる”人材としての価値があったのだろう。

今朝のNHKのニュースを見ていると、三段目力士が巡業で相撲甚句をうたっている姿が放映されていた。“国技”としての伝統を示す一環として、巡業では相撲甚句やしょっきりが披露されるが、その大事な役目も担っていたのである。

並みの三段目ではないのである。“伝統”は引き継がれるものである。今回の調査で、中盆の伝統をどこまで遡れるのだろうか。何代目まで遡って検証できるかで、相撲協会の自浄能力を判断できるのではないだろうか。

何とか9時前に更新できた。

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