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アジア杯のMVPには本田が選ばれたが、私の評価では断然長友がMVPにふさわしいと思う。得点こそあげていないが、攻守にわたり目覚ましい働きぶりだった。

長友の魅力はスピードとスタミナである。スピードがあってスタミナがあるというのは一見矛盾するようだが、サッカーの試合での選手の動きを見ているとのべつ幕なしに全力を出しているのではなく、緩急があり陸上競技のインターバル・トレーニングのようなものである。

学生時代に、このインターバル・トレーニングは練習メニューの中心であった。200mを30秒で走り残りの200メートルを60秒前後でジョギングし、これを10~15本こなすのである。最初の3本くらいまでは軽くこなせるのだが、4本目位から徐々にきつくなり、10本を超えると30秒で入るところが35秒かかるようになり、ジョギングもトラックを走れず、フィールドを横切って近道しなければついていけなくなる。

15本こなすと、走行距離は6キロ近く(近道のズルがあるため)になるが、ロードを10キロ走るよりも数段きつかった思いがある。

そのインターバル・トレーニングが抜群に強いのが長友だと思う。先日のオーストラリアとの試合で、長友は15キロ走りチームでトップの走行距離である。15キロのインターバル・トレーニングというのは、私のきつさの体験からすると、長友はオーストラリア戦でロードを30キロ走った感じだ。

私もインターバルの3本目までは楽についていけた。相手選手も前半は何とかなるが後半になるとお手上げ状態になる。決勝戦の見事なアシストもそのような中から生まれたものだ。

その長友がインテルへの電撃移籍が決まった。シーズン途中での移籍をというのはそれだけインテルが渇望していたということであり、しかも7億円の移籍金にプラスして、インテルに所属しているイタリア代表選手の譲渡を含んでのことである。

90年代のサッカー・バブルのころに中田がペルージャからローマに30億円の移籍金でトレードされたのが話題になったが、今回の長友の移籍はその時に匹敵するものだと思う。BSで今シーズンはセリエAの試合も放映しているが、競合チームに移籍したことで観る楽しみが一つ増えた。

インテルの主力に、長友がW杯で対峙したカメルーンのエトーやオランダのシュナイデルが居るというのは、巡りあわせの妙を感じさせられる。

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