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昨日のスーパーボウルは結局パッカーズが逃げ切り13年ぶりのチャンピオンになった。内容的には押されていたが、パス・インターセプトが2つ、ファンブル・リカバーが一つの合計3つのターン・オーバーを得て、それをことごとく得点に結びつけたのが勝因である。

勝負事には流れが重要で、いいリズムで攻めながらミスを犯すと流れを切ることになる典型的なゲームだったと思う。

優勝したパッカーズは、人口10万人ほどの、ミシガン湖に近い町のチームである。日本のサッカーに例えると鹿島や磐田の規模である。この町に7万人収容のスタンドがあり、常に満員の観衆を集めるのである。

もっと凄いと思うのは、シーズン席のキャンセル待ちが30年を超えるということである。キャンセル待ちの権利は、財産相続の対象にもなっているほどだ。

アメフトをマーケティングの視点から見ると、究極の“飢餓のマーケティング”であると思う。シーズンは9月から12月の4カ月だが、その間チームがホームで試合を行うのは8試合にすぎないのである。

2週間に一度しか地元で試合が行われないため、飢えたフアンで常にスタンドが満員になるのである。試合数が多い野球との違いだ。

試合時間は1時間だが、プレーとプレーとの間に間があり、昨日の試合も8時半のキックオフで、試合終了は12時を少し超えていた。3時間半も楽しめるのである。

プレーごとに間がある点では野球と同じで、サッカーやラグビーとは異なるゲーム性である。次にどんなプレーをするかを予想しながらプレーを観るという、間合いを楽しむスポーツだと思う。

スーパーボウルによるチャンピオン決定までの道筋も巧みだと思う。地区優勝チームに加えて、2位以下の上位2チームがワイルド・カードとしてプレーオフに進むため、終盤まで目が離せない展開になる。今年のチャンピオンのパッカーズは終盤3連勝をしてようやくワイルド・カードの最後に名を連ねたのである。

プレーオフは1月に入ると毎週行われ、一挙にリーグチャンピオンが決定する。あっという間の出来事のように、トントン進むのである。ここからが憎いところで、リーグ・チャンピオンが決まってからは1週間の間合いを置き、スーパーボウルを迎えるのである。ここにもジラシがあるのだ。

飢餓のマーケティングを徹底することにより、頂点のスーパーボウルの価値を高め、TVのスポットCMが何百万ドルにも跳ね上がるという、スポーツ・マーケティングの一つの完成形を成し遂げたのだと思う。

忘れてならないのは、プレーの迫力・見事さという品質の高さが土台にあるからこそ、飢餓のマーケティングが成果を収めるのである。レベルが低いのに飢餓のマーケティングを仕掛けようとしても、仕掛けた方が飢えてしまうだけだ。間合いの魅力では共通するものがある相撲が、八百長疑惑という品質問題で飢え死にしかけているように。
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