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横浜市が、昨日「待機児童ゼロ」を発表した。3年前は全国で最も待機児童が多かったものが、行政の懸命の努力でとうとう表面上は保育所待ちがなくなったわけで、とかく動きの鈍さが指摘される行政にとっては久しぶりのクリーンヒットではないだろうか。

保育所については、10年ほど前にCS調査を何度も行った事があり、10ヶ所以上の保育所に出かけて保育士さんと一緒にCS向上策を検討したこともあって、今でも関心が強い。

その時に感じたことの一つは、保育所というのは“立地産業”であるということだった。仕事で学校を訪ねることはよくあるが、公共交通機関を利用して学校に出かけると結構不便な場所にあることが多い。駅前に学校があることはめったになく、駅から遠いことがその理由だ。

校庭をたっぷりとる必要があるため、地価の高い駅前には立地できず、郊外のゆったりとした場所になってしまうからだ。よそから来る人には不便でも、住んでいる人には徒歩圏でもあり、小学生にとっては不便さを感じないと思う。

しかし、保育所となるとそうはいかない。小学生なら自分一人で通学できるが、保育所に通う年齢の子どもにとっては送り迎えが必要になる。通勤途上に子どもを保育所に預けなければならない親にとって、便利のよさは必須条件になる。最寄り駅への途中にあるのがベターで、反対方向や駅向こうの立地などは最悪である。

アンケートに、送迎時間の項目を入れていたが、5分未満が理想的で我慢できるのは10分以内が限界であった。こうなると必然的に、保育所の立地は限られ、「駅上保育所」の人気が高いのもうなずける。

立地条件が大きなウエイトを占める保育所を、あの手この手で設置した横浜市の努力には頭が下がる思いがするのだが、この立地産業という特性によりもう一つ厄介な問題があると思う。

保育所の商圏範囲は極めて狭く、せいぜい半径500メートル程度だと思う。狭い商圏で保育ニーズが急激に高まるのは住宅建設が進んだ時であり、マンションが建設された時には顕著だと思う。横浜市の場合は、地域の住宅建設の動向を見極めながら重点エリアをピックアップして保育所建設を進めたのが、「待機児童ゼロ」宣言につながったのだと思う。

しかし、これからもマンションの建設動向を見ながら、モグラたたきのような努力が繰り返されるのだと思う。厄介なのは、せっかく作った保育所が20年もたつと、用をなさなくなる可能性があることだ。

マンション居住者は、年齢の近い人が多く、子育ての時期も比較的重なる。100世帯のマンションではピーク時には30~40人の需要が発生すると思うが、10年後にはせいぜい10人、20年後にはそのマンションからは一人の需要も発生しないということも十分考えられる。

小泉政権時代から待機児童ゼロが唱えられていたが、横浜市は例外で全体では一向に解消された気配はない。モグラたたきの腕前が横浜ほど巧みでない自治体が多いのだろうが、「期間限定型」というビジネスの難しさも影響しているのではないだろうか。

横浜市に、期間限定型への対処方法が備わっているのならば、「モグラたたきチャンピオン」の称号を贈らなければなるまい。
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司法試験予備試験の受験者が急増しているというニュースが流れている。司法制度改革の一環として法科大学院が設置され、卒業生に司法試験のみに受験資格を与えるものにしたが、大学院に経済的理由で進学できない人にも受験資格を与えるために、2年前に予備試験の制度がもうけられた。

昨年の司法試験では予備試験を突破した人の合格率が68%だったのに、大学院からの合格率は26%にとどまり、がぜん注目率が高まった結果が、予備試験の受験者が急増したということになっている。

しかし、よくよく考えてみると、予備試験の合格率は3%ということになっており、かなりの難関を突破してきた人たちである。選抜された人たちであり、合格率が高くなるのは当然で、68%の合格率というのはむしろ低いと感じるほどである。せっかく難関をくぐり抜けてきたのに、1/3が落ちるというのは気の毒な気がする。

一方で、2年かけて大学院に通い、時間もお金もかけたのに、1/3以下の人しか報われないというのではこちらも気の毒だ。司法試験が難しすぎるためだが、弁護士の数が増えすぎて訴訟大国になっても困るし、レベルの低い弁護士の粗製乱造も出来ない相談で、ハードルが高くなるのもやむを得ないことだろう。

司法試験ほどの難関ではないが、公認会計士もハードルの高い資格試験である。私も、社会人になってから2回公認会計士の試験を受けたことがある。1年目は、腕試しと雰囲気に慣れる事が目的で、勝負は2年目においていた。2年目は、何度か受けた模擬試験の結果も良好で、自信満々で臨み2日目までは自己採点でもそれなりの結果だったと思ったが、最終日の経済学の試験で頭が真っ白になってしまった。問題の意味が全く理解できずフリーズしてしまい、白紙に近い回答になってしまった。

会計士の試験は簿記、会計学、原価計算論、監査論、会社法、経営学、経済学の7科目あり、合計で60点以上で合格なのだが、科目ごとに足切りがあり1科目でも40点以下があるとトータルで6割を超えても討ち死にというルールであり、私は足切りに引っかかったと思っている。

ショックが大きく、3度目の挑戦をする気がなくなり方向転換をしたわけだが、公認会計士の試験はカバーする範囲が広く、学生時代よりも熱心に勉強した記憶がある。自分なりに充実した2年間であり、その経験やそこで得た知識は無駄ではなかったと今では思っている。心の傷は今でも残っているのだが…

予備試験にチャレンジした1万人を超える人たちにも、その経験を無駄にしてほしくないものだ。

合格率の低さにより、最近では法科大学院の定員割れが9割に達し、統廃合もドンドン進んでいる。このままでは、数年のうちに制度が瓦解してしまうのではないだろうか。
暑くもなく寒くもなく、気持ちよい日が続き昨日などはスポーツ観戦にはもってこいの日よりだった。気候の後押しを受けてプロ野球には6球場で19万人、Jリーグには16万人のフアンがスタジアムに詰め掛けたのだが、20周年記念で盛り上がっているだろうサッカーよりも、不人気(?)とされる交流戦の方が動員が多かったのは意外な感じがする。

その交流戦だが、始まったばかりで何とも言えないのだが、ホームのアドバンテージがあるにしても、セリーグが14勝10敗と4つの勝ち越しは予想外のスタートになっている。野球の質の違いから、パリーグが断然優位にあり、交流戦で勢いをつけるチームが出てくるものだと思っていたのに(少しもたついているソフトバンクが飛びだすと予想していた)、アップアップだった中日が4連勝するなど今年のスタートは真逆の展開になってしまっている。

原因は、“飛ぶボール”にあるように思う。3年前の統一球導入によりホームランが激減し、不評を買った事でコミッショナーがボールに一服盛ったような気がする。公式見解では、これまでのボールと変わらないということになっているが、DeNAのブランコなどは昨日の試合で今シーズン20号を記録している。この2シーズンは30本を越えればホームラン王になるレベルだっただけに、42試合で20本というペースは驚異的なハイペースだ。

マラソンならハイペースだと後半に大バテしてせっかく作った貯金を崩してしまうのだが、ホームランは貯蓄が出来るので、どこまで記録が伸びるのか注目される。42試合で20本というペースは、年率換算するとシーズンでは70本になり、55本という“聖域”を巡って怪しい動きが出てきそうな気もするが。

ブランコだけでなく、昨日はどこの球場でもホームランがドンドン飛びだし、6球場で22本にもなった。神宮と甲子園で7本ずつホームランが飛び交った事が大きいのだが、神宮の7本は球場の狭さでよくわかるのだが、大箱の甲子園でも7本というのには驚きだ。昨日は風が強かったので、打者有利の風が甲子園には吹いたのだろうか。

ここまで書いて気が付いたのは、昨日の試合は屋外の球場が4試合で19本、ドーム球場では2試合で3本であり、明らかに風の影響がありそうだ。飛ぶボールに風が味方して、ホームラン合戦となったのだろう。

足と肩を売り物にするパリーグの野球は、“空中戦”には通用しないことがはっきりした。



「所得倍増計画」という言葉を聞いたのは池田内閣の時だったから、中学生の時だった。高度経済成長の時代に突入したころで、世の中は活気にあふれ、社会科の授業の中で教師が「君たちが社会人になったころには、世の中は今とは全然違うものになっているはずだ」という言葉を聞き、子ども心に、未来は明るいという希望を持ったこともを今でも覚えている。

50年前の所得倍増計画が突然甦った。前回は7年間で倍増するというものだったが、今回は農家限定で、しかも10年とややレンジが長くなっている。何とも摩訶不思議な政策目標だ。

農家の所得を増やすには、売り上げを増やすかコストダウンを徹底するほかはない。大企業の多い製造業ではコストダウンは比較的やりやすいが、規模が小さく労働集約的な日本の農業スタイルでは、コストダウンで取り分を増やすというのは簡単ではない。

売り上げを増やすにも、人口が減り、高齢化が進んでいるのだがら食べる量も減るばかりで、売り上げが増えるには値上げしかないだろう。物価をあげるのが目標という頓珍漢な政策をとっている政府だが、10年で2倍を実現するためには年率7%の値上がりとなり、消費者は到底受け入れないだろう。

こうなると、外国への輸出を増やすということになるのだが、日本の農産物は高関税に守られて高値を維持している状況にあり、いくら円安でも価格競争力に乏しく、輸出の倍増というのは難しそうである。

TPP交渉においても“聖域”において、関税は維持するというのだから、どうやって農家の所得を倍増させるのか道筋はよく見えない。

「世界に勝つ」とか「農家の所得倍増」とかキャッチフレーズばかり並んでいる気がする。甘い言葉ばかり並んでいるのはテレビの通販番組を観ているような感じで、これで成長戦略と言えるのだろうか。突っ込みどころ満載の政策しか打ち出せないこんな政権に、高い支持率を許している野党も情けないのだが…
第一4半期のGDP速報値が、年率換算で3.5%という極めて高い数値が発表された。アホノミクスの成果が注目される中で、政府・財界の御用新聞のような日経は一面記事で囃し立てるかと思っていたが、朝刊の一面にはどこにも見当たらない(速報記事は夕刊トップだったのかもしれないが)。

来年の消費税増税は、「景気の動向を観て」ということになっており、消費税増税で政府の尻を叩いていたメディアなのに、なぜか冷めたような報道に終始している。不思議な現象なのだが、活力のバロメーターである設備投資が依然として伸び悩んでおり、手放しでほめたたえる気にはならないのだろう。

そう思うのも、高齢化・人口減少を抱える日本経済の“自力”は1.5%がいいところだろうから、3.5%というのは2%の水膨れになっていると思うからだ。個人消費が伸びているといっても、一部の富裕層や、消費税増税の前の住宅の駆け込み需要によるものと見ているから、企業の設備投資が増勢に向かわない限りほめそやすことはないのではないか。

同じ日経の企業面のトップ記事は、日立の3カ年計画についてのものだ。「日立、海外15万人体制」というのが見出しになっている。今後の事業計画の方向として、海外のインフラ受注に的を絞り、海外の人員を3年間で3万2千人増やし、国内人員は8千人減らすというものだ。インフラのメンテナンスや運営などにも軸足を移し、サービス売り上げの比率を30%から40%超を目指すという計画になっている。

電機業界はリーマンショックで大きなダメージを受け、いまだに立ち直りの兆しが見られない企業が多い中で、日立や東芝などの総合電機メーカーは、いち早く回復を示している。しかし、その方向は「海外」「サービス化」に向いており、安倍政権が強く願う、国内への投資・雇用の確保とは真逆の方向である。

人口が減少している国内市場は魅力に乏しく、世界に通用する優良企業ほど、投資先は国外に重点が移るという皮肉な結果になりそうだ。成長戦略から、成熟戦略に切り替える潮時だと思うのだが。







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