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日本(特に民主党)のお手本になっているイギリスの総選挙の結果は、中ぶらりん議会というハング・パーラメント状態になった。2大政党が過半数を取れず、第1党の保守党と3党の自由党との政策面は隔たりが大きすぎ、第2党に落ち込んだ労働党と自由党では過半数に達せず、第四極の政党を糾合しなければ政権を確保できないという事態である。

どの枠組みになったとしても、不安定な政権運営となることは避けられない。

このような状況に陥ったのは、世論調査で支持率の高かった自由党が議席を伸ばすどころか、逆に改選前の63議席から57議席へとマイナスになったことが大きな理由である。自由党が予想通り議席を増やしていれば労働党との連立でなんとか政権が発足できたはずであった。

自由党が思わぬ結果になったのは、小選挙区制度の弊害がもろに出たのではないだろうか。小選挙区制度では1:1の対決でない限り50%を超えなくても議席を獲得できる。しかし、20%台のシェアではよほどの乱立でない限り、落選となる。

昨年の日本の衆議院選挙でも、民主党の得票率は40%台にもかかわらず、70%を超える議席を獲得している。民主主義の基本ルールは、過半数の尊重ということになるのだが、40%台のシェアでも過半数を圧倒的に超えるという矛盾を小選挙区制度は抱えていることになる。

日本の場合は、2大政党による安定した政権運営ということを目指して、中選挙区制度から小選挙区制への転換が図られたのだが、そもそも有権者は2大政党制を望んだのだろうか。

社会の成熟化と、“選択の自由度”というのは比例するものである。未成熟な社会では1党独裁、成熟化社会では主張の異なる多数の政党からの選択ということになると思う。この流れに逆行したのが、日本の小選挙区制への移行であった。

選挙結果を受けてイギリスのブラウン首相は、自由党の求める選挙制度の改革に協力するという発言をしている。イギリスで小選挙区制度が見直しされれば、日本もこれに倣うのだろうか。

もう一つイギリスを手本としている政治スタイルで疑問なのは、マニフェストである。民主党は何かというとマニフェストで約束したからということで、強引に政策を押し進めようとしている。

しかし有権者はマニフェストのすべてに賛同して投票したのではなく、共感することが多かったからか、特に押し進めてほしい政策があったから投票したのである。これも40%台のシェアで100%=議席の獲得という小選挙区制度と同じような論理だと思う。
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